それからというものシスターの態度が急変した。
あの6人兄弟は唯一私と仲良くしてくれる救い。
前よりは生活しやすくなったけど他の子供からの視線が冷たい。
時々考えてしまう。
「自分を優先するか、相手を優先するか」
いつもの様に悩みを抱えたある日だった。
私が数を数えようとした時だった。
制服の真っ白のスカートのポケットに入れて置いたはずのハンカチがない。
貰ったばかりの新品だ。
私は強引にみんなを隠れさせた。
本当は私だって探したかったけどこれ以上みんなに迷惑はかけたくなかったからだ。
30秒数え終わってみんなを探しに行く。
数分後、監視員の大きな声が孤児院に響き渡った。
そう、
「敵襲だ」
まだ森の奥に入っていなかったからシスターが私のことを見つけてくれて、
シェルターの中へはいることが出来た。
しかし、あの6人をシスターは探し出すことが出来なかった。
結局あの6人は見つからないまま時が過ぎた。
あとから聞くとあの6人は私に内緒でハンカチを探してくれていたらしい。
申し訳ない気持ちでいっぱいで、
私は数日間何も考えられなかった。
でも私は思った。
「これからは一人で生きていく。誰かに助けられるもんか。強くなる、そしてあの6人を倒したあいつを倒す」
まだ6人が倒されたと決まってるわけではない。
だけど、
あの6人を見つけ出すことは不可能だろう。
だったらかたきをとるしかない。
まっててね、みんな。
私がみんなの仇をとって、
みんなを見つけ出すから。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!