_______ 「 あなた、 」
私の名前を、名前を呼んで。
もっともーーっと呼んでよ、お母さん
お別れなんて嫌だよ。もっと沢山一緒に遊ぼうよ
拳が私にあたる前に、サンジさん…?が
お父様の拳を受けた。
でもどうして、?
ルフィさんと闘っていたはずじゃ……
夢から覚めたかのように現実に戻った
大声をあげてルフィさんに近寄った。
だって、だってだって…ルフィさんが倒れてるから
… 私は父の寝顔も笑顔も泣き顔も見たことがない
怒った顔ですらも、見たことがない。
父はほぼ無表情だから。
母の前では笑ったらしい。
泣いたらしい。でも、私が産まれてから?
それともそれよりも前から?
それとも、私が物心ついた頃に無表情になった?
…… 分からないけど、私は生きてきてこの…
16年間……ぐらい、か。見たことがない
父が笑っている。
口角をあげて、悪い顔で笑っていた
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!