「 先程の大音について説明しろ 」
「 嘘をつくな、誰が来た 」
なぜ知っているの、なぜ……
「 メイドからすべてをきいている。 」
…… そっか、
居たんだメイドさん。
私の事無視してただけか
また私の目に、光が消える瞬間だった
「 誰が来た。言え。 」
「 言えと言ったはずだ。聞こえなかったのか? 」
瞬きした、目を開くと痛かった
頭が痛い、痛くて触れた
生ぬるいものがあって、吃驚して手のひらを見た
真っ赤な血が流れていた
少し怯んでしまった
実の父に殴られ頭から出血したのだ
それを焦りもされない
なんだか苦しくなった
ウソ。 すごく痛い、苦しい
頭も心も、ズキズキと、どくどくと
「 … 賞金1500万の……モンキー・D・ルフィ 」
賞金首……、海賊だもんね、当たり前か
「 そうだ、と言ったらどうする 」
自分の為に怒ってくれて、
自分の為に戦ってくれて、
自分の為に心配してくれる。
親から貰えるはずの愛情を、
この一言で、このひとりの行動で
実現してくれたようで、
なんだか幸せな気分になった
私の目には、ルフィという一人の男が
光照らされていた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!