裕太side
あの子が帰った…よし。
厨房で何やら用意をし始める店長。
カウンターにダラっと座って聞く。
極度の人見知りな俺。
他人と話すとか出来へん。
怖い。
何話したらええか分からへんもん。
けど、ここに来る人はだいたいサラリーマン。
話すこともないし、勝手に盛り上がってるから
そこに料理持ってくだけやし?
めっちゃ簡単。
特に、女なんか増して嫌や。
気使う。
俺の第一印象はみんな口を揃えて
" 冷たい "
それだけ。
刺さるところは刺さったけど治せへんもん。
無理。
ま、話さへんければええんや。
バイトしてスっと帰ればええしな。
けど、可愛かった…
目大きくて、ボブの髪型が良く似合ってた。
小柄。
って、アホ。
何考えてんねん、俺は。
時計を見れば6時半。
今日も、たくさんの酔っ払いが出ていく予感。
いつもなんやけどなぁ。
よし、今日も頑張ろ。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。