そしてかなり亜嵐の酔いがヒートアップしてきた。
私の上のソファで寝転んでじたばたしてる。
作ってくれたオムライスのお皿とかおつまみの入れ物を
キッチンに持っていく。
わ、綺麗にしてる。
調味料とかも細かく別の容器にいれかえてあったり
マスキングテープとかで
砂糖
とか
塩
って書いてる。
こういうところ、すごい器用で羨ましい。
これこそ女子力ってもん?
お皿を水に浸して洗い始めた時。
ムクッと起きて
目を擦って、キッチンにやってきた。
ガチャって音がしてあ、水か。
お酒飲んでんだもん。
そりゃ、お水飲みたくなるよね。
あ、ここでもまた女子力発揮できるのに。
やっぱ、私本当に女子力…っ!?
動いていた手が止まる。
ただ、水の流れる音と私の心臓の音が響く。
何してると思いきや
私に後ろから手を回してきている。
いわゆる、バックハグ。
弱々しい声。
亜嵐じゃない。
そう思えて、水を止めて亜嵐の方を見ようとしたけど
ギュッて離されない。
おまけに、亜嵐は私の手を握ってる。
ヤバいっ…
水を止めたせいで心臓の音と亜嵐の声だけが響く。
さっきはギュッてされて動けなかったけど
今では自由が聞いて
逆に、亜嵐の方に私は向けられた。
向き合って、目が逸らせない。
その大きな瞳に吸い込まれそうになってしまう。
赤く染めた頬。
とろんとした目。
亜嵐の酔った顔はこうなんだとハッキリわかった。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。