第34話

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2019/08/13 14:30
あなた

わかりました ~ 。

ツイてない日曜日。
私の仲のいいおばあちゃん先生が居るんだけど


手伝いに来て欲しいって連絡が来て
まあ、私、おばあちゃん先生好きだからさ断れなかった。


優しいし、見てて可愛いし。
今日、何も無かったし大丈夫。
いつも持っていく大学のカバンに財布、携帯を入れて


コートに腕を通し、寒い外に出た。
もうそろそろ12月になりかけるこの日。
雪でも降るんじゃないかって、寒さ。
腕を擦ると若干暖かく感じるのは寒さのせい。
そして、いつも通り寒いホームに行けば


人と暖房で温められた電車へと移る。
そして、電車を降りればまた寒いホーム。


徒歩10分ほどの位置に大学がありそこはやはり暖かく落ち着く。
あなた

春ちゃん ~ ?

梅田 春子さん。


私は春ちゃんと呼ばせてもらっている。


ちゃん付けされると若返ったみたいで嬉しいって言ってた。


そこも、また可愛いよねぇ。
梅田 春子
はいはい ~ 。
春ちゃんのいつもいる所は図書館。
何万冊もの本が棚に敷き詰められている。


…読む気にはならないけど凄いとは思う。
あなた

どうしたの ~ ?

梅田 春子
これこれ、頼めないかな。
私の前に出されたのは1冊ずつ重ねられる本。
あなた

これ?

梅田 春子
棚に入れて欲しいの。
あなた

どこ?

梅田 春子
ん ~ 、あれだよ。
春ちゃんが指さすのは結構高い所の棚。
私も割と背小さいから苦戦しそう。
あなた

よしっ、頑張る!

梅田 春子
やっぱ、あなたちゃんに頼んで良かったわぁ。
ありがとうね、あなたちゃん。
あなた

いいよいいよ!
お安い御用だよ!

春ちゃんに言われた本を抱えて棚に向かう。
今日は休館のはずだから人は居ない。
図書館は静かにするところだけど


ここまで静かなのは見たことない。


あ、私が行かないだけか…?


なのに、なんで春ちゃんと仲良くなかったかはよく分からない。
脚立を持って棚の前に立つ。
順番に入れてくと難しそうな本が沢山並んで目が回りそう。
あなた

知らない本ばっか…

いくら棚に入れても読みたいと思う本は無くて
春ちゃんを見れば何やら仕事してるし


私、当分帰れないなぁ…


まだ、本も残ってるし。


下に置いてある本を拾った。
"  赤髪の冒険  "
あなた

赤髪…

裕太さん


を思い浮かべた。
表紙が1人の赤髪の人の後ろ姿。
あなた

…読みたい

本嫌いな私が読みたいと思った本。
あなた

春ちゃん!

そう叫べばビクッとする春ちゃん。


あ、慣れてないか。笑
梅田 春子
なに ~ ?
あなた

これ、借りていい?

私のいる棚からこの本を見せると


春ちゃんは目を細めて頷いてくれた。


私が本読まない子だから読んでくれて嬉しいのかな。


頷く回数が多い。笑
そして、お昼が回った頃。
あなた

終わったぁ ~ 。

やっと本を並べ終えて、春ちゃんのカウンターに行く。
梅田 春子
ほんと助かったわ、ありがとう。
あなた

いいよいいよ、そんなの!
それより、見て!これ!

あれから離さない本。


春ちゃんにジャン!と見せた。
梅田 春子
あ、それいい話よ。
あなた

春ちゃんも読んだの?

梅田 春子
本の先生だもの。読むよ。
あなた

どんな話?

梅田 春子
それは、読んで見なきゃねぇ。
あなた

うん、そうする!
小学生低学年ぶりだよ、本読むの。

梅田 春子
…春ちゃん悲しいです。
あなた

ふふっ、いい本に出会えなかったんだよ!

梅田 春子
いい本、悪い本なんかないわ。
その人の心でその本がどんなものか
変わってくるものだからね。
読む人の心…か。
梅田 春子
なら、あなたちゃんに宿題!
その本読んで私に、感想聞かせて?
あなた

えっ、何その宿題!
私まだレポートも溜まってるのに!

梅田 春子
聞かせてちょ ~ だい!
あなた

うぅ、春ちゃんの望みなら仕方ないなぁ。

梅田 春子
いつでも待ってるからね。
あなた

はい!

リュックの中に本を入れ、


ちょっとだけ重くなったリュックを背負う。
帰ったら読んでみよっと。

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