かっこいい…
かっこよかった…
赤髪…
でも、
キンキンに冷たかった。
あの私を見る視線とか、私と話す会話とか…
凍りそうだった。
今日はとりあえず、家に帰って明日からの出勤に備えよっと。
明日は夜から。
金曜日。
prrrrrrrrrr
カバンの中で震える携帯。
亜嵐からで
高校生みたいなくだらない会話。
けど、楽しい。
結局、亜嵐とご飯に行くことになった。
亜嵐とご飯に行くのは何度かある。
よく誘われて、誘ってた。
いつも払わせてばっかだから今日こそは払わなきゃ。
払うって聞かないんだもん。
でも、優しい亜嵐に甘えちゃう私。
ダメだわぁ…
やっと来た電車に乗り込み、揺られて帰った。
.
無難な白のTシャツにデニムのスキニー。
私、そんな服持ってないから
こんな格好しかできない。
最近服買ってないし…
髪型も、耳上に銀色のピンを刺した。
化粧もカジュアルに…って、
早く行かなきゃ…!
急いで飛び出て、駅に向かう。
すると、そこで待つ亜嵐らしき人。
黒の真ん中に柄の入ったTシャツに黒のパンツ。
亜嵐、無駄にイケメンだから…
ほら見られてるのに気づかない鈍感野郎。
すると、私に気づいた亜嵐。
私に向かって大きく手を振る亜嵐。
ギャップ…よ!
待ってる時は男らしくてカッコイイのに
今、手振った瞬間、可愛くなっちゃってるよ!?
私の頭をガシッと掴んで振る。
怒らないよ、亜嵐は。
って、悪いことなんだけど ~ 、私の性格上…ね笑
亜嵐が前で手を出してる。
は?
手繋ぐってこと?
名前を呼んでも手を引こうとしない。
好きじゃないのにそうやって試されても…ね?
そう言うと私の横に来て歩いた。
不思議だなぁ、亜嵐は。
何考えてるかわかんないだもん。
残念なイケメン。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。