駅に近づく度に胸と頭は揺れる。
頭痛はやばいなぁ、って思ってるけど
今から引き返すことなんかできないし
裕太さんとデートしたいもん。
曲がり角を曲がった時、駅が見えてきて
その横に
暖かそうな襟が白い綿みたいなのが着いたジージャン。
上下黒のカッコイイ服。
私服は…見たことないっ。
かっこいいかっこいい。
やばい、裕太さんのこと見れない。
けど、早く行かなきゃ待ってるもんね、
勇気をだして声を出すと裕太さんが気づいて
あああああああ、沈黙!
それにしても裕太さん細い。
裕太さんがホームに入っていく後ろ姿。
嬉しくて、ニコニコしながら私も入る。
それからは、なんとなく会話ができて舞い上がって
何笑ってんの
って、つっこまれたかな。
裕太さんを見るだけでも嬉しいのに
隣で一緒に話して笑ってるとか幸せすぎる。
いつの間にか痛みなんか忘れてて
可愛い笑顔。
反則
あっという間にショッピングモールに到着。
夜で家族連れも多く賑わっている。
え、今。
私の頭に手を乗せていわゆるポンポンってやつ…
されました。
私、もたないかもしれません、
初めからこんなとばされちゃついていけない…
そんな裕太さんはとっても罪な男です。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!