手伝いの帰り。
リュックに入れて置いた本を取り出す。
電車の中で読もうかな。
片手に本を持って電車に乗り込む。
今日は珍しく空いていて楽に座れた。
そして1ページめくる。
本だなぁ…
分厚いし…
だから、本は読もうと思わなかったんだ。
" 勇者 、ミュージャ。
そんな彼に立ちはだかる高い壁とは ──── "
何だこの読みたくなる感じは。
名前を裕太さんと置き換えた。
その方が読む気増すからね。
そして、黙々と私はページを開く。
今頃珍しいかな、本なんて。
現代、携帯が当たり前な世の中になってきて
最近では本を読んでいる人を見かけなくなった。
本だって携帯でも見ることは出来るから余計。
そんな携帯社会の中、私は本を読んでいる。
なんか、抵抗してるみたいでドキドキする、
たまに笑ってしまい、声に出る。
隣近所からは白い目で見られるけど気にしない。
なんて時間はあっという間。
本についていた紐を挟んだ。
電車を降りると寒いホーム。
慣れてるはずなのにな。
おかしい。
すると
その言葉を出されると閉じたくなくても開かれなくなる口。
実は、ずっとずっと亜嵐に点数は負けている。
こんな陽気な亜嵐だけど意外と頭良くてムカつく。
片手に持つ本。
やっぱ、それほどほんの印象は変な方向みたい。
ぼそっと呟かれた言葉は私には聞こえなかった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。