第36話

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2019/08/14 12:57
亜嵐side
なんでその本にしたのか聞いてみたら

" 赤髪が…好きだから "

だって。
嫌でも予想着いちゃうよね。


赤髪なんて。
あなたを家まで送り俺は喫茶店に行く。
さすがに勉強しなきゃやばいからなぁ。


進級もできないかもしれない。


それは困るからな。
珈琲を頼んで横に暖かい珈琲が置かれた。
さぁ、勉強しよ。


そう気合を入れたはずだけど問題が解けない。
あなたのあの表情が気になってペンも動かなくなった。
白濱亜嵐
…幸せそうな顔すんなよな。
あなたの好きな人はあの赤髪。


バイト先の先輩にあたるあの人。
やっぱ、俺は叶わないかあ…


今まで好きになったら必ず自分のものになってきた。


好きだ


と言えば


私も


と、言われる。
別れよ


そう言えば


わかった


こんなことを繰り返してきた。


何故か心地よくて


悪いことなんだろうな、とは思っていた。
けど、あなたは違う。


俺の事、顔はイケメンだけど ~ なんて否定してきた。


嫌なはずなのになんか嬉しくて


今まで同情され続けてきた俺だから


否定してくれる人がいてくれて嬉しかった。
話した時から好きだった。


それからも、俺がお願いして同じリュック買ったし。


それもあなたの優しさ。
隼に


付き合ってるの!?


なんて言われた時はめちゃくちゃ嬉しかったなぁ。


うん!


って言いたかったけど
あなた

やめてよ、そんなのじゃない。

そう否定したあなたがいたから


俺も 違うよ と言った。
その時は結構心に来たよ。
って、過去のこと遡ってなかなか勉強に身が入らねぇ。
白濱亜嵐
帰ろっかな…
喫茶店に入って10分も、経ってない。


珈琲だけ飲んで勉強道具を片付けていた。
チリンチリン…
店長
いらっしゃいませー。
可愛らしい店員さんのか細い声が店内に響く。
「  2人です  」
店長
お好きな席へどうぞ!
「  ありがとう  」
ちょっと癖の強い話し方の人。


男ふたり。
筆箱に消しゴムを入れようとしたら


ちょうど乾燥していた手のため、滑り落としてしまった。
俺の膝に乗って落ちていった消しゴム。
拾おうとしたら
誰かが俺より先に拾ってくれた人。
白濱亜嵐
あ、ありがとうございま…
中務裕太
あっ。
前連絡先交換した赤髪さん。


裕太くん。
白濱亜嵐
この前はどうも!
中務裕太
会うなんて奇遇っすね。
後ろにはサングラスをはめてハットを被ってる強面の人。
白濱亜嵐
消しゴムありがとうございます。
中務裕太
いえっ、勉強っすか。
白濱亜嵐
…はい笑
中務裕太
真面目っすね。笑
白濱亜嵐
友達にも言われました。
まじっすか!


って驚く裕太くん。


うん、かっこいいよ。


優しいし、笑う顔、素敵だと思う。


あなたの言ってることが今やっと結びついた気がする。
白濱亜嵐
あ、じゃ俺はこれで。
中務裕太
…またっ
白濱亜嵐
はい。また!
きっと、人見知りだろう。


なのにこんなに気軽に話しかけてくれるから


ちょっと嬉しい。


俺には心開いてくれているのかなって思う。
会計してまた寒い外に出る。


コートのポケットに手を入れる。


喫茶店の温かさがちょうどポケットに浸透していて


若干温かい。
白濱亜嵐
はあっ…
…初めてだ。


こんなに余裕がなくなってきたのは。

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