亜嵐side
なんでその本にしたのか聞いてみたら
" 赤髪が…好きだから "
だって。
嫌でも予想着いちゃうよね。
赤髪なんて。
あなたを家まで送り俺は喫茶店に行く。
さすがに勉強しなきゃやばいからなぁ。
進級もできないかもしれない。
それは困るからな。
珈琲を頼んで横に暖かい珈琲が置かれた。
さぁ、勉強しよ。
そう気合を入れたはずだけど問題が解けない。
あなたのあの表情が気になってペンも動かなくなった。
あなたの好きな人はあの赤髪。
バイト先の先輩にあたるあの人。
やっぱ、俺は叶わないかあ…
今まで好きになったら必ず自分のものになってきた。
好きだ
と言えば
私も
と、言われる。
別れよ
そう言えば
わかった
こんなことを繰り返してきた。
何故か心地よくて
悪いことなんだろうな、とは思っていた。
けど、あなたは違う。
俺の事、顔はイケメンだけど ~ なんて否定してきた。
嫌なはずなのになんか嬉しくて
今まで同情され続けてきた俺だから
否定してくれる人がいてくれて嬉しかった。
話した時から好きだった。
それからも、俺がお願いして同じリュック買ったし。
それもあなたの優しさ。
隼に
付き合ってるの!?
なんて言われた時はめちゃくちゃ嬉しかったなぁ。
うん!
って言いたかったけど
そう否定したあなたがいたから
俺も 違うよ と言った。
その時は結構心に来たよ。
って、過去のこと遡ってなかなか勉強に身が入らねぇ。
喫茶店に入って10分も、経ってない。
珈琲だけ飲んで勉強道具を片付けていた。
チリンチリン…
可愛らしい店員さんのか細い声が店内に響く。
「 2人です 」
「 ありがとう 」
ちょっと癖の強い話し方の人。
男ふたり。
筆箱に消しゴムを入れようとしたら
ちょうど乾燥していた手のため、滑り落としてしまった。
俺の膝に乗って落ちていった消しゴム。
拾おうとしたら
誰かが俺より先に拾ってくれた人。
前連絡先交換した赤髪さん。
裕太くん。
後ろにはサングラスをはめてハットを被ってる強面の人。
まじっすか!
って驚く裕太くん。
うん、かっこいいよ。
優しいし、笑う顔、素敵だと思う。
あなたの言ってることが今やっと結びついた気がする。
きっと、人見知りだろう。
なのにこんなに気軽に話しかけてくれるから
ちょっと嬉しい。
俺には心開いてくれているのかなって思う。
会計してまた寒い外に出る。
コートのポケットに手を入れる。
喫茶店の温かさがちょうどポケットに浸透していて
若干温かい。
…初めてだ。
こんなに余裕がなくなってきたのは。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。