第44話

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2019/08/15 14:58
裕太side
谷告白されたんやと。


なんや、このモヤモヤは。


妹に彼氏が出来てしまった悲しみ…か。


複雑な思いが入り交じる中
あなた

いらっしゃいませ!
何名様ですか?

笑顔でホイホイと接客する谷を目で追う自分がおる。
おっかしい、


最近思い始めてきとるんやってな。


大学でも会わへんかなってちょっとよそ見してみたり


前みたいに偶然席隣になるかもしれへん


って、服に気合い入れたりしとる自分がおって怖なる。
…変な客に絡まれてないやろうか。


泣きそうになってへんかな。


いちいち、あいつの事が頭に浮かんでくる。
あなた

裕太さん!2番テーブルです!

中務裕太
あいよ。
不意に見る谷の笑顔に心で変な波が打った。
でも、谷には亜嵐くんというイッケメンな彼氏がおるし


俺には無理。


だから、この気持ちに気づいたらあかん。


口に出さずにひっそりと秘めておく。


誰かに言ってしまうと認めしまうやろ。
今日もなかなかの忙しさ。


谷がバイト初めてから店の売上が伸びてきて


店長も大喜び。
…実は、俺もやったり。
…きっも。


自分らしくない自分といざ対面した。


嫌やわ、まじ。
あなた

はぁっ、裕太さん、お疲れ様です!

頭につける布巾を取って頭を下げる。
中務裕太
ん!お疲れさん。
いつもみたいにカウンターに腰掛けて隣で座るんよ。


可愛いやろ。
あなた

裕太さん、

中務裕太
なに?
あなた

なんで赤髪にしたんですか?

中務裕太
赤髪?
結構前にやったから理由までは覚えてへんけど


なんとなくなら…
あなた

理由ってあったんですか?

中務裕太
…まあ。
あなた

なんですか?

中務裕太
え、教えたくないもん。嫌や。
あなた

ケチ…

中務裕太
聞こえてんで ~ 。
あんなに人見知りな俺がつっこむまで仲良くなった。


めちゃくちゃ嬉しい。
あなた

裕太さんが初めてです。

中務裕太
何を?
あなた

赤髪、初めて見ました。

そう横でニコッと微笑む彼女にまた大きな波が打つ。
中務裕太
ほんま?
あなた

はい、綺麗だなって…

中務裕太
…見んといて。恥ずかしい。
これ以上見られたら見透かされそうな感じで怖かってん。
あなた

裕太さんってお茶目な一面がありますよね。

中務裕太
…よく言われる。
あなた

可愛いですね。

中務裕太
…可愛いは嬉しくないねん
あなた

え?

谷だけには


可愛い


じゃなくてさ、


かっこいい


って思われたいやん。


完璧、、そうなっちゃった自分を目の当たり。


好きなんか?


谷のこと。
自問してみるが帰ってこない自答。
中務裕太
谷は俺のことかっこええって思っといて。
ぽんとフワフワな髪の毛に手を乗せたら


顔がどんどん赤くなっていく。


…可愛いやつやわ、ほんま。


お兄ちゃん本能発揮する。
店長
イチャつきは外でやれいっ!
ドンと出てきたおにぎり。
あなた

わ、またわさび入ってないですよね?

店長
もう、、入ってない!
あなた

何その間!怖すぎ!

店長
ま!食べてみな?
いただきます。


そう言って口の中に入れると俺は美味しい。


梅干しの酸っぱさが疲れを癒してくれる。
けど、隣のハムスターはちゃうみたい。
あなた

ちょっと!店長!何入れたんですか!

店長
ふへへへ、今日はカラシを入れてみました。
あなた

また引っかかった。

店長
面白い反応するからやめらんないんだよね。
店長、同感っす。
あなた

もう、やだ。

店長
はいはい!お茶!
ごくごくと辛そうに飲む彼女を見てたら


無性に触れたくなってん。
怖いぐらい、好きなんやって。
中務裕太
…綺麗や。
優しく谷の頭を上から下へ撫でていた。
けど、口に出すと止まらへんくなるで絶対言わへん。

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