亜嵐に誘われて支度をしている中、
私はふと思った。
裕太さんの連絡先知らない…
結構仲良くなったと思う私。
そろそろ、連絡先欲しいなって心のどこかで
思ってたんだけどなかなか口に出せずじまいで。
私って奴は、ほんと。
ドレッサーで髪をアイロンで整える中、
ガクッと前に倒れた。
はぁ、私って意気地無し。
連絡先のひとつ聞けないんだから。
でも、断られたらどうしよ。
彼女いるから他のやつとは交換できない
なんて言われたらバイトの時お皿割りまくりだよ。
店長からも白い目で見られて
挙句には裕太さんに嫌われる。
そんな地獄な妄想。
違う違う!首を横に振って
妄想を覆す。
よしっ、今日頑張って聞くぞ。
今その前に、亜嵐だ。
髪にゴールドの大きなピンを指して終了。
今日の服装は
濃い色のデニムにグレーのスウェット。
なかなか買いに行けない服。
このまえ、やっと買えた一部。
早く着たいと思ってたから嬉しい。
鏡の前で確認すると同時に笑みが零れる。
行ってきます。そう心で家に囁いた。
.
そろそろ亜嵐の変なジョークには飽きてきた頃。
いい店見つけてくれたことには感謝している。
おまけに、今日カッコイイ。
おまけだから。
亜嵐は。
お洒落な服着ると増してみえるから嫌。
隣にいる私の気持ち考えて欲しい。
みんなから見られる痛い視線はらどうにもなれない。
私の頬を片手で掴んで上を向かせてくる。
お陰様でブッサイクな顔が完成しちゃって…
笑われた。
何でもかんでも優しくすればいいとか
思わないでよね。
私、そんなんじゃ落ちないもん。
って、私は既に落とされている。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!