裕太side
と、チラッと俺を見て逸らすんや。
俺の隣、嫌なん?
そう聞こうとしたけど、やっぱ、聞けへん。
そう聞いたら悪い気がして
こう聞いてきてくれてよかった。
ちょこちょこと歩いてきて俺の横に座った。
な ~ んか、変やわ、こいつ。
さっきからオドオドしてよ。
なんやねん。笑
何か言いたげそうな顔。
お、結構唐突でびっくりしたわ。
そんな深刻な顔しとったでもっと真剣なことなんやろって
思っとったら全然ちゃうやん。
やっぱ、的はずれなこと聞いてくるな、こやつ。
んだから、何?
って聞きたくなるけどこれは本性で聞いて来とるんやな
って、思って、心に閉じこめておいた。
なくもないけど、どうだろ。
見せるもんじゃないし。
俺らの関係って、もうすぐ終わりかけてるから。
見せたって、何もないねんけど。
素直やなぁ、笑
やっぱ、おもろい。
携帯を取り出してフォルダを開くと
たった1枚だけ。
俺らが仲良かった頃の写真。
顔もくっつけてお互いめっちゃ笑ってる写真。
この頃はあっちに何にもあらへんかった時。
本気で恋してた時。
はい、と見せたら
うわぁ…って。
俺の顔みてうわぁって言ってたら嫌や。
あなたにはうわぁなんて言われた無い。
…なんで目赤いん?
…
今日、金曜日か。
あ、俺もあるやん。
お笑い番組やってんけど俺、めっちゃ好きやねん。
録画するの忘れとったわ。
後ろから聞こえてきた嬉しそうな声。
頷いたら 私もです! って飛び跳ねてんで?
めっちゃ可愛いやん。
って、俺らしくないわ。
明らかにテンションが変わった谷。
なんだかんだ、よかった。
ドアを開けたらす ~ っと涼しい風。
二人きりになるこの空気。
だんだん、空も暗くなってきていて
谷の顔が薄暗くなる。
意外。
谷がガツガツなお笑い番組見てるとは思ってもなかった。
お腹抱えて見てんのかぁ、
なんか、見てる姿を後ろから見てみたいわ笑
自分で言うのもあれですけど。と苦笑い。
なんやろ、この子をもっと知りたいと思った俺。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。