裕太side
そう言ったらボケっとした顔でうんうんと頷く谷。
ほんま、飽きんわ、この子。
若干震え気味の谷の携帯を持つ手。
なんで、そんな震えとるん、笑
" 追加されました "
そうでてきた俺の携帯の画面。
俺は即
" あなた "
となっていたなまえを
" 谷 "
に変えた。
特別感あってええやろ。
谷、可愛ええ。
笑うと可愛ええねんなぁ。
この、ニコッとしたら出来るえくぼとかめっちゃハマる。
って、、あほや。俺。
何言ってんねんやろ、
こいつには彼氏がおる。
あんなイケメンの彼氏やったし。
てか、好きちゃうで?
あかんあかん、勝手な妄想膨らんでまう。
しかも、そういう顔、めっちゃ寂しげ。
なんで?
もう別れた
そう言おうとしたのに谷めちゃくちゃおっきな声で
よかったよかった
言うで、言えへんかった。
そうして、入ってきた通知。
" 谷が写真を送信しました "
ウケる笑
自分で設定しといて笑える。
やっぱ、俺、センスあるわ。
青色の雲の背景には
俺と、谷の笑う写メ。
俺、めっちゃ笑てるやん。
やっば。
こんな笑っとったのに谷凝視しとったで?
わぁ、ひかれた。笑
やけど、俺の隣に並ぶ顔のちっさい女の子。
谷得意のボケっとした感じも醸し出しながら
しっかり笑ってさ
うん、可愛い。
グーと親指を立てて店長にむける。
私は大丈夫、と言わんばかりの顔しとる谷。
俺、優しいからさ
声掛けた。
だって1人にしとくの可哀想やん。
元気よく入ってきて聞こえるシャッター音。
撮れたことを確認して店長と谷に送る。
楽しいわ
なんか、そう思ったのは久しぶり。
けどそんな楽しい時間はあっという間って言うやん。
となりに座る谷を見ると明らかに愕然とした顔で
時計を見つめてた。
まじ?
谷、やべぇじゃ…
馬鹿。あほやこの子。
気づいてへんもん。
1から叩き込まなあかんか?
お疲れ様です。
と、言って外に出ると寒くなってきた風か肌を直撃。
それにしても一向に話そうとしいへん谷。
ちょっと後ろにおるし
立ち止まってみたら驚いたように谷も立ち止まる。
よかった。
嫌やって思われとったら今すぐにでも走って帰りたかったけど
帰りたくなくなった♡
こんな内心絶対谷に見せられへんけど
俺の内心こんな感じや。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。