眠れなくて明るい光が部屋を照らし始めてきた頃。
寝れなさすぎて頭を乾かさず寝てしまった。
大失態。
お陰様で頭痛はするし気持ちもだるい。
完璧、風邪ひいたな。
けど、学校は行かないと補習になるしそれは避けたい。
重たい体を起こして支度し、駅に向かった。
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今日はいつにも増して寒い。
まだ、雪は降らないのかな、なんて思いながら
電車の中から外を見ていた。
電車の中はやはり人が居るから暑くて
余計に体調が悪くなるな。
学校に着くと莉子が立ってて
莉子の隼とのノロケ話を聞いて教室に行く毎日。
まぁ、慣れてきたもの。
今日は違う。
一歩踏み出す度に頭はズキズキと痛む。
講堂に入るとまだ誰もいなくて
広い講堂のため、声が響く。
初めてだな、こんな経験。
莉子はやけにはしゃいで席を選んでいる。
階段を降りて莉子の選んだ席に座る。
隣でニコニコしてて私もつられる。
と、猛スピードで駆け上がって行った莉子。
急でびっくりする、
突然な行動。
私は机に伏せて少しでも痛みを和らげようとした。
今日は夜、裕太さんと…デートなのに。
熱出て行けないなんか嫌だもん。
後で頭痛剤かって飲もう。
ため息をついた時。
隣から聞こえた声。
裕太さんが隣に居るのに
今は喜びたくても体がダルすぎて喜べない。
ていうことは…
多分、裕太さんとこの講堂では二人きり…
考えただけで顔に火がつきそう。
そんな目で見られちゃ…困る。
興味無さそうに携帯を見た。
私と居る時は絶対触らないでいてくれたのに…
ま、これが普通か…
頭痛は治まらずガンガンと痛む。
…治まって。
お願い…
裕太さんがにっこりと微笑んでくれた後ろに
莉子が立ってて
いろいろ話がこんがらがる。
おまけに、頭は治りそうになくただガンガンと揺れる。
多分、莉子は付き合ったと思ってる…
…残念だけど付き合ってないんだよ…
はぁ、辛い。
こんなに近くに居るのに…
辛いと痛い
の気持ちを持って机にもう一度伏せた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!