私は助けて欲しくて必死に叫んだ。
助けて…
母が慌てて部屋に入る。
その当時、8歳だった私はボロボロ泣いて母に縋った。
母ももちろん、顔を青ざめて
颯仁(お兄ちゃん)を見た。
颯仁は母の声に反抗するように暴れ出す。
いつもより鋭く尖らせた犬歯を向け、止めようとする母に飛びかかった。
一瞬で視界が
真っ赤に染まった。
母の血だ…。
母の腕には颯仁の犬歯が突き刺さって貫通したあとがある。
流れ出る血。
私は泣きながら見守るしかできなかった。
犬のように手を舐めた颯仁が今度は梨衣に向かって犬歯を見せた。
怖くて怖くてなく声も出ない私は
ただ震えて私を狙う颯仁を見てる。
今度は私に向かって犬歯を向け、私に噛みつき、押し倒した。
腕が血塗れの母が苦しそうに
私の名前を呼ぶ。
もう、その時から
私の記憶はなかった。
✁ ✃ ✁ ✃ ✁ ✃ ✁ ✃✁ ✃ ✁ ✃ ✁ ✃ ✁ ✃
これは梨衣が8歳の頃からの話になります!
梨衣の吹き出しは幼い口調です、
吹き出しのないところは大きくなった梨衣の表現…?みたいになってます((よく分からん
なんかお兄ちゃん(颯仁)キチガイ君ᵃⁿᵈ厨二病くんみたいだけど…笑
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!