第3話

85
2018/03/29 02:33
とにかくお兄ちゃんに会いたい。
その一心で私は部屋を飛び出した。





お兄ちゃんは人じゃなかったのかな?


なら私にもその血が流れてる?
梨衣
………、



私はこっそりお母さんが喋っていた方ではない反対側の廊下にダッシュした。
梨衣
っ………、




自慢ではないけど、友達と鬼ごっこした時は私がいつも一番足が速かった





だから、逃げ足には自信があるんだと思う












案の定、身体は痛むけれど、かなり速く走れてお母さん達は気づかなかった
母親
そうですね。檻の準備お願いしますね
市長
分かりました。
梨衣
はぁっ…はあっ………っ



私は無我夢中で走り続ける




と、ドアが見えた。



念入りに鎖が巻かれている。





とても8歳の梨衣には開けられないかも。
梨衣
!!ひらけ!ひらけ!!!
梨衣
空いて!!お願いします!!



ふと視線をずらすと、小さな小窓がある。






8歳の子供なら余裕で通れる!
梨衣
よっこいしょっ…と!














外だ…











外に出た。




不思議と傷は痛くない。






でも、包帯に血は滲んでいる。
梨衣
颯仁兄ちゃん!



私はまた、隣町のお部屋まで走り抜けた。








お母さんが鮮明に教えてくれたから。







隣町の偉い人たちが暮らす裏のお部屋にいるわ




って。





バカだね、親って





私のことなめすぎだよ





そんなにバカじゃないもん



何が何でもお兄ちゃんに会いに行ってやる


その一心で走り続けた
梨衣
っ………と!




この町と隣町の境を超えた。




入るとすぐ












偉い人の暮らすお家があった。





豪邸で、その裏には小さな木製のボロ小屋があった。









梨衣
あそこに……颯仁兄ちゃんが……………?





私は思わず立ちすくんだ。





可哀想で、仕方ない

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