第9話

鬼になった善逸の話⑨ 【完】
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2019/07/08 12:05
目を覚ますと見覚えのある天井と、硬い地面に倒れたはずなのに柔らかい布団にくるまっていた
善逸
善逸
ん…
隣では伊之助と炭治郎が寝ている

伊之助は見るに痛々しい傷を負っていた
伊之助
伊之助
ぐがぁぁぁ…
大きないびきだな、と少し笑ってしまった





布団から出て縁側に座る

俺は大変な事をしでかしてしまった

友がやられているのに1歩も動けず、しまいには自我を失って炭治郎を襲った…

許されることなのだろうか?

いや、そんなはずはないと首を横に振った

あの時の気持ち悪い感覚を忘れられない

全身から熱い湯が湧くような感覚

直後の記憶はないが、気がついたら炭治郎の首に噛み付いていた

炭治郎は泣いていた

でも抵抗せずに俺を強く抱きしめていた

優しさゆえに自分を犠牲にしてしまう炭治郎

このまま俺が気が付かなかったら、炭治郎は死んでいたに違いない

なんて顔をして会えばいいのかわからなかった

このまま切腹だろうか…

悪い考えばかりが頭をよぎった
炭治郎
炭治郎
善逸
善逸
善逸
あ…
善逸
善逸
炭治郎…
善逸
善逸
本当にごめんなさい…謝って許されることじゃないのはわかってる、でもっ…
炭治郎
炭治郎
善逸
炭治郎
炭治郎
落ち着いて
そう言って炭治郎は俺を抱き寄せた

自分の息が荒くなっていたことに今気づいた
善逸
善逸
でも、でもっ…
涙が溢れて止まらなかった

こんな俺でも、受け入れてくれるのかと思うと目頭が熱くなった
炭治郎
炭治郎
大丈夫だ…俺は気にしてない
炭治郎
炭治郎
それよりも、善逸に俺は感謝するべきなんだ
善逸
善逸
え…?
炭治郎
炭治郎
善逸が最後に技を打ってくれたから鬼舞辻は死んだ…あの状況じゃとても倒せなかったよ
善逸
善逸
たん、じろ…
善逸
善逸
うぅぅ…ぐすっ…
善逸
善逸
ごめっ、ありがとぉぉ…
炭治郎
炭治郎
こちらこそ、ありがとう
炭治郎からは今まで聞いたことないくらい優しい音がした



伊之助
伊之助
へへっ…

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