第108話

宗教 sj
776
2021/11/16 10:08



   
you
you
  あ 、





   彼女の視線を辿った先には





   " 顔面国宝 " のあだ名で有名な





   きむてひょんが 。





   確か彼奴は 、





   いっつも1人で





   愛嬌もなければ笑顔も見せず





   万年真顔の無愛想な奴だ





   君はそんな奴を





   わぁ 、かっこいい … なんて





   きらきらした目で見つめちゃって




sj
sj
  前はじみんくんって言って  
なかった ?
you
you
  今はてひょんくんなの  





   そう 、こちらをちらりとも見ず答える





   女たらしの愛嬌まみれな野郎かと思ったら





   今度は無愛想な野郎





   他には塩な性格の猫顔な先輩





   勉強以外ならなんでも出来る可愛い顔した後輩もだっけ





   そいつらの共通点といえば





   イケメンだ 、ということ





   大学に入ってから見た目にも気を使うようになって





   重度のアニオタからも脱して





   すっかり変わった 、と思ったのに





   ミーハーな所だけは全く変わってなかった





   まるで宗教だ





   イケメンという偶像を崇拝する宗教 。




sj
sj
  そんなにイケメン好きなの ? 
you
you
  あったりまえじゃん
見るだけで全身が浄化される





   僕だってイケメンで有名ですけど 。





   そう言おうとした一歩手前で言葉を飲み込んだ





   それと共に胸に浮かぶもやもや達





   こんなの 、君に好かれたいみたいじゃん




sj
sj
  いやいやいやいや 、
you
you
  何急に  
sj
sj
  … いやぁ 、別に  





   そう返してこっそり彼女を盗み見る





   やっぱり 、絶対無い





   今まで幼馴染としてやってきたんだ





   その関係はこれからも変わるはずない





   けど 、君から香るシトラスが





   どうしても気になってしまって





   胸が高鳴ったのは





   気の所為ではないだろう




sj
sj
  あなた  
you
you
  ん ? 
sj
sj
  イケメン 、ここにもいるでしょ  
you
you
  … なに言ってんの 、ばか  





   べし 、と肩を叩かれる





   それから数日後





   彼女が僕を崇拝しだしたのは





   だいたい想像がつくだろう





   その先は 、また半年後の話 。





   end









   胸きゅんって程ではなかった 。



プリ小説オーディオドラマ