あなたへ
拝啓 とても寒い季節になりました
あなたは元気に過ごしていますか ?
あの日から半年経ちましたが
僕は未だに信じることが出来ません
あの時 、呼び止めていれば 。
僕が一緒にいれば 。
後悔は募るばかりですが
ずっとこの調子でもあなたを困らせるだけなので
もう泣くのはやめにします
ところで最近 、僕は起業しました
上手くいかない事も多いですが
とてもやりがいを感じているし
" じゅなのやりたい事なら何でも応援するよ "
というあなたの言葉にも背中を押され
日々 、頑張っています
今 、僕がこうして過ごしていられるのも
あなたという存在がいてくれたからこそ 、です
とても感謝しています
あなた 、本当にありがとう
短いですが 、今日はここら辺で終わりにしようと思います
この手紙が 、無事にあなたの元に届くことを祈っています
また今度 、手紙を書こうと思います
それまでは 、天国から僕を見守っていてください
ではまたね 、あなた
愛してるよ
キム・ナムジュン
コンクリの上 、ライターで便箋に火をつけ
それは少しずつ 、煙を立てながら灰になっていき
僕はそれをじっと見つめる
やがて 、全て無くなると
すく 、と立ち上がる
青く広い空を見上げれば
" ありがとう " と
大好きな人の声が聞こえた気がした
end
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!