第106話

手紙 nj
688
2021/11/11 14:00








  あなたへ





   拝啓 とても寒い季節になりました




   あなたは元気に過ごしていますか ?




   あの日から半年経ちましたが




   僕は未だに信じることが出来ません




   あの時 、呼び止めていれば 。




   僕が一緒にいれば 。




   後悔は募るばかりですが




   ずっとこの調子でもあなたを困らせるだけなので




   もう泣くのはやめにします




   


   ところで最近 、僕は起業しました




   上手くいかない事も多いですが




   とてもやりがいを感じているし




   " じゅなのやりたい事なら何でも応援するよ "




   というあなたの言葉にも背中を押され




   日々 、頑張っています




   今 、僕がこうして過ごしていられるのも




   あなたという存在がいてくれたからこそ 、です




   とても感謝しています




   あなた 、本当にありがとう




   短いですが 、今日はここら辺で終わりにしようと思います




   この手紙が 、無事にあなたの元に届くことを祈っています




   また今度 、手紙を書こうと思います




   それまでは 、天国から僕を見守っていてください




   ではまたね 、あなた




   愛してるよ




            キム・ナムジュン





   コンクリの上 、ライターで便箋に火をつけ





   それは少しずつ 、煙を立てながら灰になっていき





   僕はそれをじっと見つめる





   やがて 、全て無くなると





   すく 、と立ち上がる





   青く広い空を見上げれば





   " ありがとう " と





   大好きな人の声が聞こえた気がした






   end



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