少し前
幼馴染のじみんとカフェに寄ったため
少し帰りが遅くなった事があった
リビングのドアを開ければ
特にいつもと変わらない雰囲気のゆんぎ
遅くなってごめんね 、と謝れば
大丈夫だよ 、微笑んでくれる
嫉妬も束縛も全く無い
そんな彼の器の広さもまた
私が惚れた要因
ぎゅ 、と私よりも身長の高い彼を抱きしめる
はぐが好きな彼は 、当然喜んでくれる
そう思ったんだけれど
彼は私の肩に顔を埋めたまま
犬みたいにすんすんと匂いを嗅いでくる
強めに押し返せば
彼は素直に離れていく
でも 、彼の表情は
いつもの穏やかなものではなく
少し顔を顰めて 、不機嫌そうで 。
彼の顔を覗き込めば
少し怒ったように 、口を開く
そう言われて 、自分でも服の匂いを嗅いでみる
確かに私が付けないような男性物の香水の香り
そう言えば 、心当たりのある人が1人 。
ごめん 、言い忘れてた
そう言いながら彼の顔色を伺えば
少し 、機嫌は良くなっている様子
良かった 、と嬉しそうな表情
彼が男絡みの事でこういった態度をとるのは初めてで
なんだか新鮮
ぽかん 、と驚いた顔をする彼に
ちゅ 、と軽くキスを落とす
照れたように 、でも嬉しそうに
そう返事する彼が可愛くて
また 、頬にキスを落とした
これが 、最初で最後の彼の嫉妬 。
ちょっと嫉妬し無さすぎじゃない ?
そう思う人もいるかもしれないけれど
私にはこれくらいが丁度良かったり
end
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。