真弓side
学校から出て書店に向かう最中にスマホを見たら
あなたのお母さんからたくさん着信が来ていた。
え?なんで?あたしなんかしたかな…
そう思っていたら、
まただ。
またあなたのお母さんからの電話だ。
何故だ?
とても嫌な予感がする。
とりあえず私は電話に出た。
その単語を聞いて、私はその場に泣き崩れた。
周りの人があたしの事を心配してこっちに寄って来たけど、
そんなのはもうどうでもいい。
だってあたしの1番の友達がいなくなったんだ。
もう会えない。
どうしたらいいの…
あなたのいない世界で
どうやって生きていけばいいの…
もう無理だよ…
とりあえず、家に帰ろう。
ここは外だから、周りの人に迷惑がかかる。
あたしは立ち上がってから、1度瞬きをした。
見渡すとそこは真っ白で何もない空間だった。
あれ、誰だあたしのこと読んでるの
そういえばあなたがあたしのこと「まーちゃん」って呼んでたな
もう会えないのか
いやだな
あたしの目から涙があふれ出た。
目の前には
死んだはずの
あなたが立っていた。
あなたは困惑していたあたしを抱きしめてくれた。
すごく暖かかった。
いつの間にかあなたも泣いていた。
あたしたちは大声で泣きあった。
お互いが落ち着いたら、誰かがあたしたちに話しかけてきた。
よかった。
あなたとまた会えて。
向こうの世界に行ったら、絶対にあたしがあなたを守るんだ。
そう、絶対に。
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。