第65話

ろくじゅう
10,758
2019/11/30 17:56
ドライヤーを止めて

彼の髪に触れると彼はゆっくり私の方を向いた


樹「ねぇあなた」


今まで聞いた中で1番優しい声

優しい表情

そっと私の頬に手を添えて言葉を続ける


樹「あのさ、」


樹が何か言いかけた時私の携帯が鳴った

でも今は樹の話を聞きたい

そう思って私は樹の方を見た


樹「電話出なよ。また後で話すから」


そう言って困ったように笑った


「ごめんね」


そう言ってから携帯を手にすると

電話の相手は滝沢くんだった


滝沢『あ、葵?』


「お疲れ様です」


滝沢『おつかれ。すごく急なんだけど今から場所送るからそこに来てくれる?』


「今からですか?」


滝沢『うん、急で申し訳ないけどよろしくお願いします』


「わかりました」


電話を切ると樹が心配そうにこっちを見た

多分ちょっとだけ声が聞こえたんだろう


「樹、ごめん」


樹「大丈夫大丈夫、また来るわ」


「うん」


私は急いで出かける支度をして

樹と一緒に家を出た

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