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第3話

注文の多い料理店 3
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2020/05/28 08:57
紳士
これはどうももっともだ。僕もさっき玄関で、山のなかだとおもって見くびったんだよ
紳士
作法の厳しい家だ。きっとよほどえらい人たちが、たびたび来るんだ。
そこで二人は、きれいに髪をけずって、くつの泥を落しました。
 そしたら、どうです。ブラシを板の上に置くや_否いな_や、そいつがぼうっとかすんで無くなって、風がどうっと室の中に入ってきました。
 二人はびっくりして、_互たが_いによりそって、扉をがたんと開けて、次の室へ入って行きました。早く何か暖いものでもたべて、元気をつけて置かないと、もう途方とほうもないことになってしまうと、二人とも思ったのでした。
 扉の内側に、また変なことが書いてありました。
「鉄砲と弾丸たまをここへ置いてください。」
 見るとすぐ横に黒い台がありました。
紳士
なるほど、鉄砲を持ってものを食うという法はない。
紳士
いや、よほど偉いひとが始終来ているんだ。
二人は鉄砲をはずし、帯皮を解いて、それを台の上に置きました。
 また黒い扉がありました。

「どうか帽子ぼうし外套がいとうと靴をおとり下さい。」
紳士
どうだ、とるか。
紳士
仕方ない、とろう。たしかによっぽどえらいひとなんだ。奥に来ているのは
二人は帽子とオーバーコートをくぎにかけ、靴をぬいでぺたぺたあるいて扉の中にはいりました。
 扉の裏側には、

「ネクタイピン、カフスボタン、眼鏡めがね財布さいふ、その他金物類、
 ことにとがったものは、みんなここに置いてください」

と書いてありました。扉のすぐ横には黒塗りの立派な金庫も、ちゃんと口を開けて置いてありました。かぎまでえてあったのです。
紳士
ははあ、何かの料理に電気をつかうと見えるね。金気かなけのものはあぶない。ことに尖ったものはあぶないとう云うんだろう。
紳士
そうだろう。して見ると勘定かんじょうは帰りにここではらうのだろうか。
紳士
どうもそうらしい。
紳士
そうだ。きっと。
二人はめがねをはずしたり、カフスボタンをとったり、みんな金庫のなかに入れて、ぱちんとじょうをかけました。
 すこし行きますとまたがあって、その前に硝子がらすつぼが一つありました。扉にはう書いてありました。

「壺のなかのクリームを顔や手足にすっかり塗ってください。」

 みるとたしかに壺のなかのものは牛乳のクリームでした。