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第2話

注文の多い料理店 2
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2020/05/28 08:56
紳士
君、ちょうどいい。ここはこれでなかなか開けてるんだ。入ろうじゃないか
紳士
おや、こんなとこにおかしいね。しかしとにかく何か食事ができるんだろう
紳士
もちろんできるさ。看板にそう書いてあるじゃないか
紳士
はいろうじゃないか。ぼくはもう何か喰べたくて倒れそうなんだ。
二人は玄関に立ちました。玄関は白い瀬戸せと煉瓦れんがで組んで、実に立派なもんです。
 そして硝子がらすの開き戸がたって、そこに金文字でこう書いてありました。

「どなたもどうかお入りください。決してご遠慮えんりょはありません」

 二人はそこで、ひどくよろこんで言いました。
紳士
こいつはどうだ、やっぱり世の中はうまくできてるねえ、きょう一日なんぎしたけれど、こんどはこんないいこともある。このうちは料理店だけれどもただでご馳走ちそうするんだぜ。
紳士
どうもそうらしい。決してご遠慮はありませんというのはその意味だ。
 二人は戸をして、なかへ入りました。そこはすぐ廊下ろうかになっていました。その硝子戸の裏側には、金文字でこうなっていました。

「ことにふとったお方や若いお方は、大歓迎だいかんげいいたします」

二人は大歓迎というので、もう大よろこびです。
紳士
君、ぼくらは大歓迎にあたっているのだ。
紳士
ぼくらは両方兼ねてるから
ずんずん廊下を進んで行きますと、こんどは水いろのペンキりのがありました。
紳士
どうも変なうちだ。どうしてこんなにたくさん戸があるのだろう。
紳士
これはロシア式だ。寒いとこや山の中はみんなこうさ。
そして二人はその扉をあけようとしますと、上に黄いろな字でこう書いてありました。

「当軒は注文の多い料理店ですからどうかそこはご承知ください」
紳士
なかなかはやってるんだ。こんな山の中で。
紳士
それあそうだ。見たまえ、東京の大きな料理屋だって大通りにはすくないだろう
 二人は云いながら、その扉をあけました。するとその裏側に、

「注文はずいぶん多いでしょうがどうか一々こらえて下さい。」
紳士
これはぜんたいどういうんだ。
ひとりの紳士は顔をしかめました。
紳士
うん、これはきっと注文があまり多くて支度したくが手間取るけれどもごめん下さいとういうことだ。
紳士
そうだろう。早くどこかへやの中にはいりたいもんだな。
紳士
そしてテーブルにすわりたいもんだな。
ところがどうもうるさいことは、また扉が一つありました。そしてそのわきに鏡がかかって、その下には長いのついたブラシが置いてあったのです。
 扉には赤い字で、

「お客さまがた、ここでかみをきちんとして、それからはきもの
 のどろを落してください。」

と書いてありました。