あーあ、今日美咲遅いなんて、しかも体育館で説教て…なにやらかしたんだよ、あいつ
そう思いながら体育館の横の廊下に健人はいた
今日も疲れたな。
健人はそう思った。なぜなら、毎日女子にキャーキャーいわれ、その姿をみたクラスメートの男子が「お前ごときが、キャーキャー言われてんじゃねぇ!」と言ってくるからだ。
そう考えながら愚痴をこぼしていると
「あ、いた!今1人じゃん!」
あれ、この声どっかで聞いたことあるような…
そう考えていると
「心美、チャンス!」
え、今なんて?
「う、うん、行ってみる!」
その一言さえも聞こえないぐらい健人の頭の中は真っ白になっていった
え、心美?あの心美か?いや、勘違いか?
「あ、健人くん!」
「おう、美咲、一緒帰るぞ」
「うん♡」
あれは多分、違う心美だったんだよな?なにせ、同じ高校なわけがない。俺は美咲が好きなんだ。他のやつ好きになってどうする
そう自分の心に自問自答しながら正門を目指すために校庭へと降りた
「健人くん、なにか考え事してる?」
「え、なんで??」
「いや、さっきから喋りかけてたんだけど…」
あ、やばい、完全に心美のことを…
「ごめん、前髪切ろうか切らないか迷ってた」
「そうなんだ、今のままでもカッコイイよ?♡」
「おう、ありがと」
俺はこいつのことをもっと好きにならないといけない
健人はそう思った
「心美、元気だしなよ…こっちまで悲しくなるよ!」
ごめんごめん、と軽く謝った
「なにせ、あんなにかっこよかったらそりゃあ彼女いるもんな!」
「う、うん…」
「え、そんなに良かった?話しかけたこともないのに??」
「いや、そのことなんだけど、実は…」
あの人、うちの初恋の人なんだよ
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。