EmperorのことはEmと略すことにしました!
ここには、私がただ一人。ただ、一人だけいる。
あいつも、あいつもあいつもあいつもあいつもあいつもあいつもあいつもあいつもあいつもあいつもあいつもあいつもあいつもあいつもあいつもあいつも
皆いなくなった。
突然襲う孤独。それは悲しみ、後悔といった感情よりかは、退屈、苛立ちに近かった。目の前の景色には、私を退屈させないものが何一つない。
確か、『仲間』とかいう連中がいたころまではまだ、楽しかったのだ。殺せない奴らはどこかに逃げてしまったらしいし、もう戻ってくることも絶対にない。
大嫌いな『博士』も、もうここにはいない。あいつに悩まされる日々。あいつに苛立ちを覚える日々。そのときは嫌に思えていたが、思い返してみるといい思い出だったのだろう。だって、あんなに大嫌いだった博士が、今は恋しくて恋しくてたまらないのだから。
だけど、君は現れた。
………………誰だっけ。名前が思い出せない。でも…とっても綺麗だ。久しぶりにものと対面したのもあって、とても安心した。
記憶がはっきりとしてくる。天使くんは確か、あいつらの中で一番背が小さかったはずだ。私は一瞬で、彼に惚れたのを覚えている。何故なら、とても綺麗だから。美しいからだ。
………………自殺をしたがってたんだっけ?誰かさんが言ってたような気がする。誰だったかは……はっきりと思い出せないけど。
何もかも飲み込むような闇。絶望に絶望しきったその目が綺麗だ。暗い顔に似合わないその天使の輪が綺麗だ。例えるなら、堕天使である。その美しさは、神に等しい私に相応しいだろう。
そんな貴重なものを、私に殺せと?このこは何を言っているのだろうか。自分の命を大事にする、というのは人生の基本ではないのか。…………私の場合は、他人の命など大事にしないが…。この私に認められ、生かしてやろうと言っても、このこは死にたがるんだろうな。
だって、今までだって死のうと思ってたのだから。他の仲間たちに阻止されていただけだったから。
ああ、可愛そうな天使くん。私のもとにいる限りは、何でも与えよう。何でもしよう。とんなお願い事でも、私が叶えてみせる。だからどうか、あいつらのことは忘れて、私のことだけ見てればいいよ?でしょう?
このこはまだ引こうとしないのね。何でそこまでして死にたがるの?………仲間たちのところにいきたいとか?……そんなキャラだったかな?
君はもう、私のものだ。どう足掻けど、もがけど、結局は私の蜘蛛の巣にかかったまま。足掻けば足掻くほど、私の罠に絡まるのだ。
一生大事にするさ。君のためだったらどんな犠牲が出てもいい。私にできることは限られているけど、世界から何人か集めちゃえば、君の望む人材が必ず手に入るはずだ。
私は今、拳を握るだけで地球を滅ぼせるほどの力を持っている。そんな拳だけど、君を優しく抱きしめてあげよう。辛い夜には、眠れるように、側にいてあげよう。
そしていつしか、あいつらのことなど忘れているはずだ。『華炉』『無双』『涙』などの名を聞いても、首を傾げるだけになるに違いない。いや、そうでないと困るのだ。
ねぇ、天使くん。私のことだけ見てよ。何で私と目を合わせてくれないの?君、何を見ているの?ねぇ、ねぇ
ずーーーーっと、一生
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!