前の話
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「あの国は、美しいのじゃが争いごとが多くての。そこで、どうにかしたいんじゃ。何か案はないかの?」
「はいはいはーい。そのまえに、ひとつしつもーん。なんでそんなにその国を気にかけんの?爺さん、それでも一応この世界の創造神――一番偉い奴なんだろ?」
「…レリア。お前、一応女子なんだから、俺はその口調はどうかと思うぞ」
「これはアタシのこだわりだっての。――で、爺さん、答えは?」
「うむ、簡単じゃ。儂が気に入った。それだけで十分じゃろう?」
「…創造神様…。それじゃ、私はよく、わかんない…」
「あー、悪いがオレも。気に入ったって、あの国のどこがいいんだよ?」
「美しいところじゃ!」
「答えになってねーし…」
「……。……はっ」
「セーラ!眠いからって、寝ちゃダメっすよ!」
「うるさい黙れ」
「……武神の力、解放するっすね」
「ごめんなさい許してください、わたしの商業神の力じゃ太刀打ちできないのでやめてください」
「じゃあ寝ないでほしいっす」
「…ちっ。――わかりましたわかりました」
「今、舌打ちしたっすか…?」
「ええい!レリアとサーバンは喧嘩するでない!セーラも寝るな!ビビアン、ダッシュ、ターチはとりあえず座れ!!」
「はーい」
「了解です」
「…ん…」
「はぁ、わかったよ」
「……」
「はいっす」
「――うむ、よし。では、話を戻すぞ」
「話って、あの国がどーとかってやつ?」
「そうじゃ。何かいい案はあるかの?」
「そもそも、その国に足りないのは何なんっすか?」
「ううむ…団結力、と言ったところじゃろうか。とにかく、まとまりがないのじゃ」
「じゃ…ターチが、武神の力、使って…無理矢理、崇めさせたら…?」
「そんなんで簡単に解決するかー?オレには怖がられる未来しか見えねーんだけど」
「……他の神は?」
「…他の神?セーラ、どういうことだ?」
「どういうこともこういうことも、わたしたち以外の他の神を崇めさせればいいんじゃないかって言ってるの」
「でも、他の神なんていないぞ?」
「……あ」
「どうしたんじゃ、ビビアン。何か案を思い付いたのか?」
「はい…。下界の、ニンゲンから、適当に…ひとり、選んで…その人を、神に任命すれば……いいんじゃ、ないかって…」
「なるほど。ビビアンもたまにはいいこと言うじゃないか」
「サーバン…。ひとこと、余計…」
「うむ。そういうことならぴったりの少女がおるぞ?」
「爺さん、何でこのタイミングでぴったりの奴がいるんだよ…。まさか」
「…レリア?違うからの?」
「はいはい。とにかく、そいつを任命すればいいんだろ?アタシがそいつの神としての名前、付けてもいいか?」
「いいぞ」
「じゃ…」
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。