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第1話

村の慣例
1,885
2021/01/26 12:45
悪魔が住み始めたとされる年の十年後 、 村中で謎の病気が広まった。

謎の病気は多くの村人の命を奪い 、 村ではある慣わしが出来た。
【 北の森に見える城には悪魔が住んでいる 。

十年に一度 、 若い娘を差し出さなければ 、

悪魔の怒りを買うことになるだろう 】
“ 村に起きた災いは悪魔の怒り  ”
とした村人達は 、 悪魔に若い娘の生贄を差し出すことで怒りを払えると考えた 。

そんな慣例に従い三人目の生贄として差し出されたのは一人の幼女だった 。

父親に生贄になる為だけに育てられ 、情の一つもなく売られた幼女 。

幼女は父親から悪魔の生贄になることを伝えられると

『 はい … 』

と嫌がる素振りも見せずに返事をした 。

生贄として森の近くまで馬車で運ばれるある日 、 父親は初めて嬉しそうに娘を見た 。

嬉しそうにする父親の手には多額の謝礼金が入った袋があった 。
「 お前は生贄になる以外生きている意味は無い 」
小さな頃から言われ続けた言葉 。

幼女は生贄になるのが使命だと父親から洗脳されていた 。

そんな幼女は涙を流すことなく父親の元を離れ 、 森の近くまで村人に連れられた 。


誰にも悲しまれることも無く …


止められることも無く …

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