第8話

苦手なもの
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2021/02/25 13:00
「 人参は苦手か 」
お肉に比べ進まない幼女の様子を見てハイラは言った 。
『 え … えっと … 』
幼女は少し驚くと幸せそうな顔とはうって変わり申し訳なさそうに下を向いた 。
「 苦手なら無理に食べることは無い 。
徐々に食べれるようになればいい 。残せ 」
申し訳なさそうな幼女に向かってハイラはキッパリと言った 。
『 の … 残していいの ? 食べなくていいの ? 』
キッパリと言うハイラに幼女は顔を上げて確認するように尋ねた 。
「 あぁ 。 子供だから苦手な物があって当然だ 」
当たり前だと言わんばかりの言い方をすると 、 食後の珈琲を優雅に飲む 。
『 あ … ありがとう … ! 人参さんごめんなさい 』
初めて我儘を言った幼女は目の前にある人参に謝罪をしてフォークを置いた 。

幼女の我儘に微笑ましい空気が流れる中 、 ソーサーにカップを置く音がすると 、 ハイラは突然
「 お前は父親に売られ今ここに居る 。 つまり 、 お前には家族がいない 」
幼女の方を見て冷たく言い放った 。

幼女は何も言えず下を向くと 、 今の自分の状況を思い出し夢から覚めたような気持ちになった 。

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