あれから紫陽花と向日葵は毎年お墓参りに行くようになった。
しかも藍沢先生と藤川先生も一緒に来てくれて手を合わせてくれる。
それから時は経ち。
紫陽花と向日葵は研修医からフェローになっていた。
白石「今日から紫陽花先生と向日葵先生が研修医からフェローとして来ました。」
紫陽花「今日からフェローとして働きます。宜しくお願いします。」
向日葵「同じく今日から宜しくお願いします。」
白石「じゃあ指導医は紫陽花先生には藤川先生、向日葵先生には藍沢先生でいいかな?」
藤川「やったー。紫陽花の指導医だー。」
藍沢「藤川、うるさい。でも向日葵の指導医で嬉しい。」
紫陽花「お兄ちゃん、宜しくね。」
藤川「うん。任しとけ。」
向日葵「お兄ちゃん、宜しく。」
藍沢「ああ。」
こうして1日が始まった。
いつものことだが救命は忙しい。
救急車で運ばれてきた患者の受け入れ、治療。
それが終わるとドクターヘリ要請が来てその対応。
ちなみに今日は白石先生、緋山先生、冴島さんがヘリ担当で現場に向かっている。
明日は藍沢先生と向日葵が明後日は藤川先生と紫陽花がヘリ担当。
藍沢「向日葵、患者の受け入れの準備をしよう。」
向日葵「うん。」
藤川「紫陽花も準備しよう。」
紫陽花「分かってるよ。」
そして患者が運ばれてきた。
患者は頭と骨盤をやっていた。
藤川「藍沢、頭どうする?」
藍沢「先に骨盤やってくれ。終わったら頭の方にとりかかる。」
藤川「分かった。」
向日葵と紫陽花は胸腹部エコーをしていた。
向日葵「お兄ちゃん、ここ。」
紫陽花「お兄ちゃん、どうしよう……」
藍沢「なんだ?」
藤川「どうした?」
白石「出血ね?肝損傷、腎損傷してる。」
緋山「しかも妊娠もしてる。胎児は諦めて出血止めよう。ダメならダメージコントロールしよう。」
向日葵「はい。」
紫陽花「分かりました。」
それから何時間経ったのだろう……。
患者の命は助けることが出来た。
だが、小さな小さな命は助けることが出来なかった…。
向日葵も紫陽花も初めて命と向き合い助けることが出来なかったことがとてもショックだった…。
それでも2人共救命の医者だから落ち込んでいる暇は無いと思っていた。
でも向日葵と紫陽花の心の中は辛くて苦しくて仕方が無くて……。
そんな2人の姿を見た藍沢先生と藤川先生は仕事を早く終わらせて早く帰ることにした。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!