あなたside
一人でそう呟きながら足早に教室への道を歩く。
『自分を大切にしないお前が嫌い。』
そらるの言葉が脳裏に浮かぶ。
どういう事だ。
訳が分からない。
自分を大切に?
そんなの……できるわけがないじゃないか。
私の一番嫌いなものは自分なのに。
それだけ言って、席につく。
どこからか飛んできた丸めた紙が私の頭に当たって落ちた。
拾って、紙を広げてみる。
………ん?中に何か書いてある……
あなたが遅れるなんて、
明日は雨でも降るのかな?w
まふまふ
少しイラつきながらまふまふの方を見ると、
私の嫌そうな顔を見て何やら満足げそうにしていた。
いったい全体、何なんだ………。
今日の二人は何かおかしい。
頭の上の数値は…………変わってないか…。
何なんだ。一体。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!