夜の安酒場。
ジェームズはグラスを傾けながら、
卓上の数少ない求人欄を睨んでいた。
「経験者募集」
「資格必須」
「紹介状必須」
全部ダメだ。
煙草の煙が目に染みる。
隣の酔っぱらいも笑った。
その時。
酒場の入口から、
新聞売りの少年が飛び込んできた。
客たちがざわつく。
今のジェームズには、
元新聞社員でも働ける求人以外は興味が移らなかった。
オッサンたちが夢物語を唾とともに飛ばす中で、なけなしの酒を煽る。
一人、老人がボソッと呟いた。
そこに、小さな文字で奇妙な広告が載っていた。
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『ポーカー家の秘密を暴いた者に、
200万ドルを支払う』
“真実を知りたければ、
ポーカーズ・パレスへ”
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老人は、くたびれてボロボロのズボンの裾をめくる。
そこに足はなかった。
胡散臭い。
どう見ても詐欺だ。
まともな人間なら鼻で笑って終わる。
だが。
ジェームズの財布には、
もう数枚の紙幣しか入っていなかった。
家賃も払えない。
仕事もない。
未来もない。
ジェームズは新聞をじっと見つめる。
200万ドル。
その額だけが、
頭の中で異様に響いていた。
そう言いながら立ち上がった。
フロアで騒いでいたオッサンの一人がこちらを見上げる。
帽子を被った彼の口角が、少し上がっていた。
大笑いする片足の老人の声を背に、ジェームズは真っ直ぐに店を出た。












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。