編集しながらお茶を飲んでたら河村さんが話しかけてきた。
横目であなたちゃんを伺うと山本さんと四字熟語の話で盛り上がっていて、こっちには気付いてないっぽい。
察してくれたみたいで、キッチンまでついてきてくれた。
ポットのスイッチを入れてお茶を淹れ直す。
河村さんはちょっとのけぞるようにして相槌を打った。
俺もお茶を飲み干すと、また編集の仕事に戻った。
収録部屋から出て大部屋に行くと、とむが駆け寄ってきた。
ノートパソコンの画面に目をやる途中で、視界の端にあなたが映った。
彼女は、さっきふくらさんに頼まれた通り、本を広げて、編集中の動画のファクトチェックをしている。
そこへふくらさんが歩いてきてあなたに話しかけた。
あなたは微笑んで何やら答えている。
とむは膨れっ面で冗談っぽく怒ってみせた。
……申し訳ない。
視線を画面に固定して、集中する。
デスクに戻るとむを見送ってからなんとなくあなたに目をやると、ふくらさんと一緒に本を読み込んでいた。
あなたが椅子に座っていて、ふくらさんがそのすぐ側に立っているせいで、寄り添い合っているようにも見える。
……。
すると、問ちゃんがやってきて二人に話しかけた。
問ちゃんは僕を手招きして呼んだ。
二人はマイナースポーツの事典の1ページを開いて、この前撮った動画の解説の部分を見ているところだった。
あなたが僕と問ちゃんを見上げながら説明する。
思い当たることがあって、本棚から一冊の本を取り出し、机の上に広げる。
ちょうどいい説明が載っていた。
くっ……。笑顔が眩しい……。
僕は自分のデスクに戻ると、残っていた仕事に手をつけた。