エルナ様がいなくなってから数日、あれから学園には何事もない日常が訪れている。
今日も私は寮の見回りをしている。
ある部屋の前で私の足は止まった。
その部屋は学園マフィアの蛇山チアキの部屋の前だった。
何故か彼の部屋は私ですら感じるほどの寒さがあった。
いくら暑いからといって良くないと思った私は冷たい扉をノックした。
しかし、返事はなかった。私は少しイラつき、扉を強めに叩いた。
そのとき、微かだったが中から声がした。
私は焦りを感じ、もう一度扉を強く叩いた。
ドンドンドンドンドンドン!!
今度は苦しそうな声が聞こえた。私は嫌な予感を察し
急いで持っていた鍵で扉を開けた。
ガチャッ
中を見た瞬間、私は固まった。
部屋中は冷房がガンガンついているせいで冷えきっていて今にも雪が降りそうな部屋だった。そして扉の前には薄着で横たわっている歌奈蛇ハヤと抱え込みながら目を見開いて口を手で塞ぎ、歌奈蛇ハヤと自分の服をギュッと握っていて凍りかけている蛇山チアキの姿があった。
急いで人体を起こすととんでもない冷えが伝わってきた。それはまるで冷蔵庫に入れられているんじゃないかってぐらいに冷たかった。
私は急いで彼らを着替えさせてベッドに運んだ。
私は至る所を探したがリモコンは見当たらなかった。
エアコンの上という発想が出てきた。
そう言って私は机に登り、エアコンの上を見た。
私は急いでエアコンを止め、少し熱いお湯を持ってきた。そしてそのお湯でタオルを濡らし、蛇山チアキと歌奈蛇ハヤの凍っている部分に当てることにした。
ジュゥゥゥゥゥ!!
勢いよく氷が溶けたせいなのか私が当てた皮膚には火傷のように赤くなっていた。
そして私は暖房を付けた。
そう言って私は上の学ランを脱ぎ、ワイシャツだけになった。
私はふと蛇山チアキと歌奈蛇ハヤの腕に目をやった。
そこには痛々しい腫れ方をした二人の腕があった。
私は急いで手当てをし、様子を伺った。
しばらくすると氷が溶けてきた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。