❲朝❳
その時だった。
ジンタロウが私の後ろの方を見て驚いている。
私は後ろを振り向いた。
私の後ろには、口から血を流してぐったりと
倒れているチヅルの姿があった。
そんな中、ケイヤが起きてきた。
ケイヤはチヅルを見つけて後ずさりした。
ケイヤの叫び声に気づいたのか、何人かの人が
寝室に入って来た。
すると、どこかからラビの声が聞こえてきた。
ガチャ
寝室のドアが開いて、アヤノが入ってきた。
これで寝室には、全員が集まった。
私は人狼を探すよりも、この人狼ゲームの真実
を探していたいんだけど…
私はチヅルを殺した人狼を、一時的に探す事にした。
スッ
周りを見ると、2人が手を挙げていた。
アヤノとイッセイだ。
2人がうなずく。
これで黒とでも占われたら厄介だ。
私はホッと胸を撫で下ろした。
全員の視線がケイヤに集まる。
まだケイヤが人狼だという証拠は無いし、時間は
たっぷりあるから探索を始めるか…
そして、私は寝室を出た。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!