女性運転手さんにメモを見せ連れていってもらったこの場所は……
とてもただの一軒家とは思えないような大きさの家だった。
門は立派で庭付き。多分3階建てだか横にも広かった。
今まで母は一生懸命働いてくれたが、裕福とはいえず、ギリギリの生活をしていた。これこそ私が学校になんて行っていたら我が家は破産していただろう。
そんな生活から、こんな家に暮らすことになるなんて。
しかもよく知りもしない男性と。
でも…もう戻れない。
私は黒のパーカーのフードを深く被り、マスクをつけ、少しでも自分を守ったように自分自身に思わせた。
意外とチャイムが高いところにあり、背を伸ばしてなんとか押した。
ガチャッと音がなり扉を勢いよく開け門をも乱暴に開き橙色の髪の男の人が出てきた
そう
4年以上ぶりに実際に見る男の人は記憶よりももっと怖く感じられた。
ゴツゴツした手。
声は低く背も高い。
逃げようとしてもすぐ捕まえられてしまうような圧。
震えと恐怖に負け、私の意識は途切れた。
ドサッと私を抱え誰かを呼んでいる声が聞こえるような気がした―――·····
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。