ころん視点
病院…
さとみ君はな組じゃない…
さとみ君はな組じゃない…
僕は自分にそう言い聞かせていたけど、いつの間にか声に出ていた
信じられない現実に僕は涙をこらえた
僕はあなたにそんな言葉を伝えた
すると…
ガラガラ
そこにはみんながいた
そして、僕は、あなたの近くに行った
僕はそんな願いを伝え、あなたの手を握った
すると…
ピクッ
あなたの指がかすかに少し動いた
ギュッ
すると、あなたは返事をしたかのように僕の手を握った
この時、みんなは凄く嬉しそうだった…
もちろん、あなたの意識が戻りつつある状況で僕も嬉しい…
でも、僕の中では心配なことしかなかった…
だって、あなたが目覚めてもさとみ君には会えない…
あなたはいつの間にか、兄と引き離されている…
でも、これはな組で決めたこと…
しょうがないしか言えないけど…
僕からはこう伝える…
「ごめんね」って…
「さとみ君を説得できなくてごめんね」って言うよ…
あの時、言い合いに何かならなければ…
僕が説得してれば…
そんなことが頭の中でぐるぐる回ってる
だから、僕には謝ることしかできないんだ…
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。