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第62話

8.  「 皇帝の鎖 」
11,600
2021/07/30 12:00

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氷の涙が伝うグラスの中はレモンサワー




















はちみつが酸味をまろやかにし、水面に浮かぶミントの葉が清々しい






大きめのダイヤカットの氷をカラカラと鳴らすように、目の前の弟は漆黒のストローをかき混ぜる。















私の前に置かれたアイスミルクティーは一ミリも減る事なく、溶け出した氷のせいでむしろ増え、ただ涙をこぼし続けている。






その涙はもう、紙製のコースターも吸い取れない。
だって、吸水量には限界があるから。

















私だってそう

止まる事のない涙を、もうこれ以上すくい切れないの。


































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