あなたside
…………言うべきか悩みどころ。
マネージャーから渡されたファンレター。
最近は応援してくれるメッセージとかが多くて涙が出そう。
でもそれだけじゃない。
この世界、あの人数の男たちの中に一人の女がいるなんて世間は認めてくれる人だけじゃない。
それくらい分かってた。
分かってたのに、そろそろ限界。
ちゃんとトレーニングだっていってるし、ダンスだっていつも自主練してる。
それでもダメってこと。
もう限界なんだよなあ。
スタジオの真ん中で大の字になって寝っ転がる。
悩んだ時にすること。
悩みが消えるってわけじゃないけどこれが私にとってはいい薬。
落ち着くんだよなあ…
どうしよう、このファンレター。
まだカッターナイフ入ってないしな。
って、それで壱馬に怒られたの忘れてんじゃん私。
やばやば、気をつけないと。
目を瞑って考えてる時、開けた瞬間岩さんの顔。
びっくりしたにも程がある。
この人、前世忍者なんじゃないの?←
岩さんに話したところで何かが変わるわけじゃないし。
話したって意味無いこと。
それにまだ重大なことになってないからいいんだよ。
後は私の限界が延びてくれることを祈らないと…
岩さんはその手紙を真剣に読んだ。
そこまで大事な内容じゃない。
私の心をえぐるって言うだけ。
岩さんに支障ないんだからいいじゃないですか。
もうその話はメンバー内がいる時は出さないようにしてる。
話すと私らしくないって思うけど心に傷が増えてくから。
岩さんの言ったことはほんとにあっていた。
でも、自分から話すなんて私は口下手だから無理だ。
かといって誰かに協力してもらいたいわけじゃない。
岩さんの話を聞いて、話す気になれたかも。
でも…怒られそう。
なんで隠してたんだって。
………そんな理由、言えるわけない。
ほんとの理由なんて。
いろいろ考えてると涙が出てきた。
1回流すと止まらないのに…
なにやってんの、私。
岩さんは私をぎゅっと抱きしめて頭を撫でた。
なんだろう、この落ち着く感じ。
岩さん、お兄ちゃんみたい…
うちのお兄ちゃんと変わって…←
気づいたら私は岩さんの腕の中で寝てた。
ガチャ
こんな会話がうっすらと聞こえながら。
ねむりについた。
私がパチっと目を覚ますと岩さんはいなくて。
その代わり三代目さんのブランケットがかけられてた。
これ…NAOTOさんのだ。
NAOTOさんまできたのかな。
なんて顔を前に向けると、
壱馬が目の前に手紙を開いて持って座ってました。
……………大ピンチ…←
ダメだ、私また強がってる、 。
なんでこんな時に素直になれないの。
素直になれないってこんなに最低なことなんだ。
それからだっけ。
壱馬と私の喧嘩が始まったのは。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!