第31話

秘密
12,579
2020/01/04 03:08
あなたside
…………言うべきか悩みどころ。

マネージャーから渡されたファンレター。

最近は応援してくれるメッセージとかが多くて涙が出そう。

でもそれだけじゃない。

この世界、あの人数の男たちの中に一人の女がいるなんて世間は認めてくれる人だけじゃない。

それくらい分かってた。

分かってたのに、そろそろ限界。

ちゃんとトレーニングだっていってるし、ダンスだっていつも自主練してる。

それでもダメってこと。

もう限界なんだよなあ。
あなた
はあ…
スタジオの真ん中で大の字になって寝っ転がる。

悩んだ時にすること。

悩みが消えるってわけじゃないけどこれが私にとってはいい薬。

落ち着くんだよなあ…

どうしよう、このファンレター。

まだカッターナイフ入ってないしな。

って、それで壱馬に怒られたの忘れてんじゃん私。

やばやば、気をつけないと。
あなた
ほんとどうしよう…
剛典
剛典
何がどうしようなの?
あなた
うわっ!えっ…?
目を瞑って考えてる時、開けた瞬間岩さんの顔。

びっくりしたにも程がある。

この人、前世忍者なんじゃないの?←
剛典
剛典
どしたどした〜?
あなた
岩さんには関係ないことです。
剛典
剛典
嘘つけ。誰かに聞いてほしそうな顔してたよ?
あなた
そんな顔してません。
剛典
剛典
強がらなくていいのに、
岩さんに話したところで何かが変わるわけじゃないし。

話したって意味無いこと。

それにまだ重大なことになってないからいいんだよ。

後は私の限界が延びてくれることを祈らないと…
剛典
剛典
何この手紙。ファンレター?
あなた
あっ、ちょっ!!!
剛典
剛典
なんだよこれ…いつから。
あなた
………………その方からは加入当時から…
剛典
剛典
……………なんで頼らないの?
あなた
まだカッターナイフ入ってないんで、
剛典
剛典
そんなんで見極めてたの!?ダメじゃん…
岩さんはその手紙を真剣に読んだ。

そこまで大事な内容じゃない。

私の心をえぐるって言うだけ。

岩さんに支障ないんだからいいじゃないですか。
剛典
剛典
なんで教えてくれなかったの?
あなた
関係ないことですから。
剛典
剛典
うーん…じゃあメンバーには話した?
あなた
いえ。
剛典
剛典
あの壱馬に一回言われて以来?
あなた
はい。
もうその話はメンバー内がいる時は出さないようにしてる。

話すと私らしくないって思うけど心に傷が増えてくから。
剛典
剛典
話そうよ、メンバーに。
あなた
話して何になるんですか。実際壱馬が言ったりしてもなんにも変わってない。
剛典
剛典
みんなに話せばあなたの心が楽になるでしょ?誰かが味方してくれればそれほど心強いことなんてないんだよ?
岩さんの言ったことはほんとにあっていた。

でも、自分から話すなんて私は口下手だから無理だ。

かといって誰かに協力してもらいたいわけじゃない。
剛典
剛典
あなたさ、最初の頃なかよしこよしでやるダンスなんてやりたくないって言ったんでしょ?
あなた
ああ…はい。
剛典
剛典
今はそう思ってないかもしれないけどさ、頼ることは出来てないよね。
あなた
それは…
剛典
剛典
あなたが今RAMPAGEをどう思ってるかなんて俺はわからないよ。嫌いなのか、好きなのか。まあ好きなんだろうけど。
あなた
………大切なだけです。
剛典
剛典
それも一緒だよ笑大切だから話さないんじゃなくて、大切だから話しなよ。
あなた
岩さんは悩みを相談したことありますか?
剛典
剛典
あるよそりゃもちろん。それで、みんな親身になって聞いてくれて解決しようと協力してくれて、それほど嬉しいことは無いよ。
あなた
…………話して楽になりましたか?
剛典
剛典
なったなった。だからさ、あなたも話しな?1人が無理なら俺もついて言ってあげるからさ。
あなた
いやそれは…結構です。
剛典
剛典
なんでよー!!!
岩さんの話を聞いて、話す気になれたかも。

でも…怒られそう。

なんで隠してたんだって。

………そんな理由、言えるわけない。

ほんとの理由なんて。

いろいろ考えてると涙が出てきた。

1回流すと止まらないのに…

なにやってんの、私。
剛典
剛典
あーあーどしたのどしたの、
あなた
うっ…泣
剛典
剛典
もー笑泣くと子供みたいになるんだから笑
岩さんは私をぎゅっと抱きしめて頭を撫でた。

なんだろう、この落ち着く感じ。

岩さん、お兄ちゃんみたい…

うちのお兄ちゃんと変わって…←

気づいたら私は岩さんの腕の中で寝てた。

ガチャ
広臣
広臣
あ、岩ちゃんいた。NAOTOさんに呼ばれてんぞ〜ってなにやってんの。
剛典
剛典
いやいや違いますって!!
広臣
広臣
泣いてんじゃんあなた。
剛典
剛典
ちょっと溜めすぎてたみたいです。
広臣
広臣
そっかそっか、だから最近元気なかったんだな。あなたは涙よりいつもの姿が似合うんだから、早くいつも通りになってな。
こんな会話がうっすらと聞こえながら。

ねむりについた。

私がパチっと目を覚ますと岩さんはいなくて。

その代わり三代目さんのブランケットがかけられてた。

これ…NAOTOさんのだ。

NAOTOさんまできたのかな。

なんて顔を前に向けると、
壱馬
壱馬
これ、なに。
壱馬が目の前に手紙を開いて持って座ってました。

……………大ピンチ…←
あなた
ファンレター。
壱馬
壱馬
だったらこんな内容で来ないし。また?
あなた
壱馬さんにはわからないんじゃないですか。
ダメだ、私また強がってる、 。

なんでこんな時に素直になれないの。
壱馬
壱馬
あのさあ、お前いつになったら話してくれるわけ?
あなた
私にも私のタイミングってものがある。
壱馬
壱馬
そんなタイミングなんてどーでもいいんだよ。俺らはお前が一人で抱え込んでんのが嫌なだけ。
あなた
…………
壱馬
壱馬
黙りかよ。もういいわ。仕事行くぞ。
素直になれないってこんなに最低なことなんだ。

それからだっけ。

壱馬と私の喧嘩が始まったのは。

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