第128話

最高
4,313
2021/08/04 13:24
あなたside
みんなに伝えられることが出来ずに2ヶ月が経った。

私に残された期限は残り、4ヶ月。

幸いにもみんなに伝えられずにいる2ヶ月間は症状が重くなることはなく、むしろ調子が出てきた。

だから大丈夫だと思ってた。

それでも、体には限界というものがある。
あなた
はあはあ…ゲホッ…
なんで私なんだろう。

生まれてきて、何度も思ったこと。

でも、今まで以上に強く思うことは今がはじめてだ。

もっと、健康に生まれたかった。

ママのせいじゃない。

それは分かってる。

それでもどこか責めている自分がいて嫌気がさす。
あなた
はあはあはあはあ…
エレベーターが混んでたから4階まで階段を使っただけですぐに息切れ。

それも有酸素運動の後みたいな。

…悔しい、
マネージャー
無理しないでエレベーター使え。
あなた
でも、遅れちゃいます、
マネージャー
遅れてもいい、体を大事にしろ。
事情を知ってるマネージャーさんは、いつもこういう。

普段できてたことがだんだん出来なくなってることに苦しくなった。

こんなんで、いつまで踊れるんだろう。

そう思って会議室を開けると、全員揃ってて。

全員こっちを見てた。
あなた
…え、何?
LIKIYA
LIKIYA
まああなた、座って。
そう言われて座らせられたのは、お誕生日席。

私なんかしたっけ…

そう思いながら座ると、やましょーさんが口を開いた。
彰吾
彰吾
あなた、なんか俺たちに言うことない?
あなた
え?ないですけど、
陣
嘘はつかんで。本当のこと言って欲しい。
さすがに、気づいてたんだ、

誰も何も言ってこないから気づいてないのかと思ってたけど。

言うべき、だよね。
あなた
…………再発したんです。
健太
健太
再発…?
あなた
もう手の施しようがないくらい。
そう言うと、メンバーみんな顔を顰めた。

…この先の言葉を言うのは毎回怖い。

みんながなんて言うのか、怖い。
あなた
あと4ヶ月なんです。
LIKIYA
LIKIYA
4ヶ月?
あなた
私が生きることの出来る期間が、4ヶ月なんです。
北人
北人
4ヶ月って…
慎
思考が追いつかない…
そりゃそうだ、私だって追いつかなかった。

みんな、びっくりして固まっていた。
あなた
…それでも、体がボロボロになるまで私は踊り続けます。
壱馬
壱馬
……
あなた
誰になんて言われても決めたことなんです。
RIKU
RIKU
でもさ、あなたの体のことを考えると…
あなた
もちろん重症化して来たら入院するように言われてます。それはちゃんと守ります。
それでも、私はみんなといることを選んだんです。

だから、止めないでください。
海青
海青
でも、できる限りの治療して療養して、ずっと一緒に踊れるようになって欲しいです俺は。
翔吾
翔吾
確かに俺もそう思うけど…
あなた
決めたことなの。それにもう私は治らない。
陣
あなた…
あなた
それが分かってるから最後は自分が最高の環境でいたいんです。最後くらい、やりたいことをしたいんです。
"最後"

その言葉にみんな反応したみたいで。

本当に、私は4ヶ月後にいなくなることを感じたようだった。
海青
海青
あなたさんが言うなら…
壱馬
壱馬
ただし、しんどくなったら言うこと。今回に関しては言わなかったら許さない。
あなた
うん。わかってる。
正直言って、意外だった。

壱馬が1番止めるかと思ったのに。

1番傷つけるかと思ったのに。
LIKIYA
LIKIYA
頑張ろうね、あなた。
瑠唯
瑠唯
楽しく踊ろうか。
あなた
…はい、
2人の優しさがしみてどばどばと流れてきた涙は壱馬によって拭き取られて。

今日も頑張りますか〜!なんて昂秀の大きな声でみんなが笑って。

…最高のメンバーに会えたんだなあ。

ありがとう、みんな。

プリ小説オーディオドラマ