あなたside
みんなに伝えられることが出来ずに2ヶ月が経った。
私に残された期限は残り、4ヶ月。
幸いにもみんなに伝えられずにいる2ヶ月間は症状が重くなることはなく、むしろ調子が出てきた。
だから大丈夫だと思ってた。
それでも、体には限界というものがある。
なんで私なんだろう。
生まれてきて、何度も思ったこと。
でも、今まで以上に強く思うことは今がはじめてだ。
もっと、健康に生まれたかった。
ママのせいじゃない。
それは分かってる。
それでもどこか責めている自分がいて嫌気がさす。
エレベーターが混んでたから4階まで階段を使っただけですぐに息切れ。
それも有酸素運動の後みたいな。
…悔しい、
事情を知ってるマネージャーさんは、いつもこういう。
普段できてたことがだんだん出来なくなってることに苦しくなった。
こんなんで、いつまで踊れるんだろう。
そう思って会議室を開けると、全員揃ってて。
全員こっちを見てた。
そう言われて座らせられたのは、お誕生日席。
私なんかしたっけ…
そう思いながら座ると、やましょーさんが口を開いた。
さすがに、気づいてたんだ、
誰も何も言ってこないから気づいてないのかと思ってたけど。
言うべき、だよね。
そう言うと、メンバーみんな顔を顰めた。
…この先の言葉を言うのは毎回怖い。
みんながなんて言うのか、怖い。
そりゃそうだ、私だって追いつかなかった。
みんな、びっくりして固まっていた。
それでも、私はみんなといることを選んだんです。
だから、止めないでください。
"最後"
その言葉にみんな反応したみたいで。
本当に、私は4ヶ月後にいなくなることを感じたようだった。
正直言って、意外だった。
壱馬が1番止めるかと思ったのに。
1番傷つけるかと思ったのに。
2人の優しさがしみてどばどばと流れてきた涙は壱馬によって拭き取られて。
今日も頑張りますか〜!なんて昂秀の大きな声でみんなが笑って。
…最高のメンバーに会えたんだなあ。
ありがとう、みんな。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。