第65話

手紙
9,850
2020/02/26 11:04
壱馬side
あなたが急変した。

その知らせを聞いた時に、俺は考えるよりも先に体が動いていた。

あなたが危ない、そうさとった。

病院につけば、あなたは重症化してて目覚めないかもしれないと言われた。

"信じたくない"

ただその一言にしか尽きなかった。

そんな時、ELLYさんから渡されたのは、1つの手紙。

封筒を開ければ、あなたのらしくない丸い字がつらなっていた。

"壱馬へ"

"この手紙が渡されてる時多分私は眠ってるんだろうね。"

"ごめん、伝えなくて。"

"言おうかずっと迷ってた。"

"でも壱馬はきっと知ったら過保護になるでしょ?"

"心配するでしょ?"

"私は壱馬のそんな顔、見たくないんだ。"

"壱馬の笑ってる顔が好き。"

"壱馬の真剣な顔が好き。"

"壱馬にはそんな顔して欲しくないから…笑ってよ。"

"ちょっと私の夢話します。"

"1つ目は、RAMPAGEで有名になること。"

"もっともっと有名になってドームもやりたい。"

"2つ目は、壱馬とずっと一緒にいること。"

"壱馬の隣はすごく落ち着くの。"

"幸せに感じるの。"

"壱馬とずっと一緒にいれたら幸せになれるから…"

"それが叶うかわからないから、この手紙を書きました。"

"もし私がこの世から居なくなってしまったら、私なんて忘れて壱馬を愛してくれる人と幸せになってね。"

"正直私が壱馬とずっと一緒にいたかったけど…"

"こんな私を愛してくれてありがとう、壱馬。"

"愛してるよ。"

"あなたより。"
壱馬
壱馬
っ………
なんだよこれ…

こんなの…絶対…

いなくなるなんて絶対ない…絶対ねえ…

あなたは、絶対生きるから…
北人
北人
壱馬、
壱馬
壱馬
生きるよな、あなたは、
北人
北人
あなたは生きるよ。死ぬわけない。
みんなだって、辛いはずなのに俺だけこんなんでいいのか?

きっとあなただったら…
翔吾
翔吾
シャキッとしなよ壱馬。
壱馬
壱馬
翔吾…
翔吾
翔吾
あなたなら絶対こう言うよ。
ニコッと笑って、俺を励ました翔吾。

そうだよな、あなたなら絶対にそう言う。

俺はあなたを信じてファンに歌を届けるから、

死ぬなよ、あなた、

その日、俺だけがあなたの病室にのこった。
涼太
涼太
あれ、壱馬?
壱馬
壱馬
涼太さん?と…
玲於
玲於
おう、壱馬。
涼太さんと玲於さんが仕事帰りによってきてくれたらしい。

玲於さんは急変したことを聞くと焦りすぎて仕事がままらなかったらしい。
涼太
涼太
そっか…目覚めるかもわからないんだ…
壱馬
壱馬
はい…
玲於
玲於
ま、こいつ不老不死だしな。
涼太
涼太
さっきの焦った玲於はどこへやら…
不老不死…笑

なにがあっても、へこたれないあなたは玲於さんに不老不死と呼ばれてた。

それからあなたの話とかをして玲於さんと涼太さんは帰っていった。
壱馬
壱馬
お前ほんと愛されてんな。
先輩たちがみんな心配してる。

だから、早く目覚めろよ、あなた。

今日の月は満月だ。

そういえばあなたが言ってたっけ。

月が綺麗ですねって。
壱馬
壱馬
あなた、月が綺麗だよ。
あなたは変わらずのまま。

でもどこか…笑ってるような気がした。

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