俺は今日、あなたにあることを打ち明けようと思う。
あること、それは…
未来での出来事。
瀬呂ですら止められなかったのにこの俺が止められるかはわからないが。
それでも俺はもう二度と目の前であなたが倒れるところを見たくはない。
もどってきた以上、どうやってでも防がなければいけない。
それが、俺と瀬呂の悲願であり、約束だから。
”死の螺旋”それは、因果律を捻じ曲げても防ぐことのできない死のことだ。
因果律というのは…キリがねえからそれはまた今度…。
とにかく、時人さんの個性というのは厳密には時を戻す、ということではないらしい。
俺たちの体感、時を戻しているように見えるが実際は時空を捻じ曲げているのだという。
俺には大してその違いは判らないが…
とにかく…!!
俺は今日、あなたに打ち明けようと思う。
信じてもらえるかはわからない…っていうか絶対信じないと思うけど…
っていうか、俺なら信じないし。
未来から来たなんて、子供でもわかる。
そんなこと言うやつはほら吹きだって。
でも、うまく言えねえけど…
あなたなら信じてくれる気がしたんだ。
普通は、その言葉はまるで自分が普通でないと言っているようだった。
その言葉が意味することは何なのか俺には見当もつかなかった。
そして、あなたの口から紡がれたのは衝撃の一言だった。
俺のほかにもう一人?
今…そう言ったのか??
まさか…そんなことが…?
もしかして…瀬呂が来たのか?
だけどあいつは俺に託す、そう言った。
自分が来るなら託すなんて言わないだろう。
なら…未来から来た男、それは誰なんだ?
確かこっちに戻ってくる前、あなたが死んだ日に保健室で確かリカバリーガールが言ってたっけ。
この子の体は腐った死体だって…。
朽ちると腐る…似ている気がする。
つまり、あなたの体がもうあの頃とかわらないのであれば…
俺はもう、防ぐことができないのでは…?
時人さんの個性は時空を捻じ曲げることができるのは、自分が記憶する一定の時点までだと言っていた。
つまり記憶されていない時点、経験されていない時点には戻ることはできない。
俺と、あなたの出会いはこの夏が初めてとなる。
だから、何度もどっても何度なにをしても…
あなたを救うことはできない…
俺はもう…あなたを救うことができないのか?
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。