あなたは刺された箇所を抑えながら
ふらふらとした足取りで歩く。
段々と視界がボヤけてきた中で
あなたはエリザベスとベロニカの二人が
遠くから此方に走ってくるのが見えた。
エリザベスは満身創痍のあなたを見て
更に走るスピードをあげた。
その時、あなたは地中に大量の魔力を感じ取る。
その地中とは、丁度エリザベスの目の前で…。
その言葉と同時に
エリザベスの足元が白い光を放ち、爆発した。
あなたは傷口のことさえ忘れ
エリザベスの元へと駆け寄る。
しかし煙が晴れ、あなたが見たのは
爆破に巻き込まれたエリザベスではなく
最愛の妹をその身を挺して護り
血だらけになって倒れたベロニカだった。
エリザベスが呼び続けると
ベロニカは焦点の合っていない瞳を開き
右手を彷徨わせる。
エリザベスは涙を流しながら
彷徨うベロニカの手を取り自身の頬に当てた。
エリザベスは涙を拭い笑顔で見せ
昔、城を抜け出し橋から落ちた時
エリザベスを庇い怪我をしたベロニカがずっと
慰め続けてくれたことを話した。
ベロニカをその話を聞き懐かしそうに笑った。
大粒の涙を流し悲痛な顔をするエリザベスとは対称に
ベロニカは幸せそうな顔をして笑う。
固く閉じられた瞼を見て
グリアモールは膝をつき叫び、泣いた。
普段の彼ならば絶対にしないそれは
心からの忠誠を誓った主人の死からくる悲しみか
それとも……。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!