この体制はちょっと持たない。
私の心臓が。
中々起きてくれないなーくんから、
覆いかぶさる布団をかばっと剥ぐと、
とても素晴らしい勢いで睨まれた。
そして再び私は静かに
なーくんに布団を掛けた。
もそもそと動くなーくんは少し可愛かった。
思うだけ思うだけ。絶対に言わない。
篝火高校の男子制服は学ランだ。
それはなーくんがいつも
着ているから知ってる。
.....。
何故か、ジッと見られる私。
大人っぽく笑われて、そう言われた。
何が意味深なのかわからない。
理解力無くってごめんなさい。
はい、呆れられました。
今日のなーくんも私に対して通常運転です。
そう言いながら、
制服の第一ボタンから器用に外すなーくん。
長くて細い指に、
私は何故か凝視してしまった。
不意に、
制服を脱いで、ワイシャツになった。
私は、なーくんのワイシャツ姿は初めて見る。
言うのが恥ずかしくて、顔は伏せる。
と、そんな時、
妖しく目を細めて言った。
なーくんに手を握られると
逃げれなくなるって最近気づいてきました。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!