第41話

よんじゅういち
12,257
2019/11/27 13:38
あなた
…っ、ひ、っく、…う…


























私は、なーくんの胸でひたすら泣いた。


悔しくって、


まだ終わりたくないって気持ちでいっぱいで。






























七森 颯太(ななもり)
あなた
あなた
う…、は、い






























喉が熱くて、


上手く声が出せない。


































七森 颯太(ななもり)
早く家に帰ろ





































そう言って、なーくんは私の手を引く。


急すぎて、少し躓いた。





































あなた
ま、って…、まって、くださ、い


























視界が涙でよく見えなかった。


だからなーくんにただ付いて行く。














































七森 颯太(ななもり)
道で、
あなた
へ…、は、い































前を歩くこの男の子は、


やっぱり背が高くて、顔なんか見えなかった。

















































七森 颯太(ななもり)
道で、そんなに泣いてたらダメ




























と、


前を向いたまま、私に言いました。






































あなた
ご、……めん、なさい








































そっか。そうだね。ごめんなさい。


また私は、迷惑をかけてしまった。

















































七森 颯太(ななもり)
なんで謝るの
あなた
え、あ、えっと
七森 颯太(ななもり)
他の人に泣いてるあなた見られたくないってこと
あなた
あ……うん
七森 颯太(ななもり)
早く帰るよ
あなた
はい…

























包まれる手は、温かい。


私よりも、随分と大きくって長い指。


とっても、安心感があって、好き。



































七森 颯太(ななもり)
……、あなた
あなた
え…?なに?

























ぼそっと、呼ばれた気がして返事する。


けど、なかなかなーくんの声は返ってこない。
































あなた
あの…、なに…?


























顔を覗こうとしてもそれは無理がある。


だから返事を待った。











....すると、




























七森 颯太(ななもり)
…何か、…その…
あなた
…?






























なーくんは、


何を言おうとしているのだろうか。


































七森 颯太(ななもり)
…欲しいのとか、あるわけ
あなた
………、え?























言われた言葉は、


どうしてこんな事を言うのか、って思った。






























あなた
なんで……?…、あ、
七森 颯太(ななもり)
………
あなた
頑張った、ごほうびくれるの?
七森 颯太(ななもり)
………、別に

















繋いでいる手が、少し熱くなった気がした。


















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