私はやっと北斗心軒を出て、外に出た。
あなた 今度はどこに行こうかな~?
ふと横を見ると、ペンギンのような謎の生き物が、
『こんな人見なかった?』
と書いてあるプラカードをかかげていた。
誰か探しているのかな……?
その謎の生き物は長い黒髪のカツラを被って……
ん?カツラ?
あなた)あの、もしかして桂?さん?を探しているんですか?
『そうですけど、あなたは誰ですか?』
まあ、そうなるよね。
あなた)私はあなたです。さっき北斗心軒ってとこで見かけましたけど逃げました。
『そうですか。』
???) おお、エリザベス。そこにいたのか。
『桂さん!!』
桂小太郎) おお、あなた殿もそこにいたのか。また会ったな。
あなた)ん?あ、桂さんでしたか……?また会いましたね??
私が語尾にクエスチョンマークを2つ付けたのは、さっきの桂さんとは全く違っていた。
桂さんは、黒い長髪をゆるく結んで女の着物を着て、少し化粧をしていた。
あなた)桂さん女装してるんですか??
桂小太郎) そうだ。今の俺はヅラ子だ。これなら真選組にも見つかりにくいだろう。
あなた)なんで真選組から逃げてるんですか?
桂……いやヅラ子さんは、私に話してくれた。
ここ江戸はかつて「侍の国」として栄えていたが、突如天人が襲来してきて、ここを勝手に占領してしまった。
それに抵抗した我々は天人と戦うために「攘夷戦争」をおこした。
圧倒的な戦力で我々は大敗。幕府は天人の言いなりとなってしまい、戦争でわずかに生き残った人は追われる身となったということを。
あなた)じゃあ、桂……あ、ヅラ子さんはその攘夷戦争の生き残りなんですね?
桂小太郎)そうだ。今でもこの国を壊そうとする攘夷志士はまだまだいる。幕府にとってはそりゃあまずいだろう。
ところであなた殿、俺の友人に会いに行かないか?
あなた)行きたい!
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。
登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。