~玲於~
あなたちゃんに手を出す。
繋ごうってことなんだけど
拒否られたらどうしよ、
あなたちゃんめっちゃ困ってるし。
だってあなたちゃんこのままじゃ方向音痴ってバレちゃいそうじゃん?
それじゃ可哀想だから。
・・・嘘。俺以外にバレて欲しくない。
こんなことで張り合って、俺、馬鹿だよな。
あなたちゃんがゆっくり手を出してくる。
・・・やべぇ可愛い←
にこってして、
ちゃんと握ってあげる。
柔らかい小さな手を、そっと包む。
はぁ・・・
誘った俺が緊張してきた、
隣のちょっと下には顔を真っ赤にしたあなたちゃん。
そうだ、そうだ、
これはあくまで安全のため。
・・・調子乗んなよ、俺。
緊張してるな~
さっきまであんなにはしゃいでたのに。
・・・俺のせい?w
極力気づかれないようにするけど
やっぱり周りの人は気づいてるっぽい。
手を繋いだままのあなたちゃんは、
こっちの話には気づかず、列の先を見つめている。
目がキラキラしてて、すっごく楽しそう。
・・・このまま帰ろうなんて言ったら、悲しむよな、
話しているうちに列は進んでいて
あっという間に俺らの番。
あなたちゃんが俺の手を引いて入っていく。
そんな中、後ろからはコソコソ噂する声が。
話しかけてきたりはしないけど、
やっぱり気になるものは気になる。
・・・あなたちゃんを楽しませてあげたかったのにな。
コースターに乗り、注意とブザーがなる。
はぁ・・・
残念だ・・・
うおぉぉ~!
考えてるうちに、コースターが発車した。
俺の隣にはあなたちゃん。
軽く声を上げながら思いっきり楽しんでるみたい。
坂を登っている途中、なんだか申し訳なくて、
俺はあなたちゃんの手を握る。
びっくりしたあなたちゃんと共に、コースターは勢いをつけて下っていく。
え、待って舐めてたかも
小さな手を再び強く握り、無意識に目を瞑る。
・・・俺、絶叫無理。
そんな思いとはうらはらに、コースターの勢いは上がっていく。
やばい、やばい、
これってそんなにやばいやつだったんだ。
俺は、周りにバレたことも忘れ、
ただただ力を込めて手を握っていた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。