無一郎side
そう言うと
あなたは一目散に走り出した
任務に忠実なのがあなたの良い所でもあり
悪い所でもある
あなたが通った跡を辿って行くと
鬼と刀を構えるあなたの姿
微かに血の匂いがすると思えば
あなたの足から出血の跡
それを見た時僕の中で何かが切れる音がした
本当は
“大丈夫だった?”って
声をかけてあげたかった
だけど冷静じゃいられなかったんだ
僕の後ろをドボドボと歩くあなた
ちょっと厳しく言いすぎたかも
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恐る恐る出されたあなたの足からは
出血した跡が微かに残っている
こういう事はよくある
僕の知らない間に傷が増えていないか心配なんだ
これ以上君に痛い思いをさせたくないんだよ
目をうるうるとさせながら
申し訳なさそうに僕を見る
この顔には昔からめっぽう弱い
“惚れた弱み”とはこの事だろうか
そう言って優しくあなたを抱き寄せた
不器用な僕の
めいっぱいの愛情表現
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!