無一郎side
あれから
どんなに年月を越えただろう
僕の時間は止まったままだ
桜を見る度
あなたを思いだす
母さんたちには会えたかな
もう辛くない? 今幸せなの?
ぎゅっと握った拳から
指輪の感触が伝わってくる
あなたの指輪は彼女と一緒に埋めた
やっぱり僕の隣はあなた
君しかいない
君じゃなきゃ駄目なんだ
僕はどうやっても
前に進む事が出来ない
僕はこの先
あなたの面影を追うことしか
出来ないのかな
君が見たらきっと
『情けない』って言うだろうな
宇髄さんが指さす方向から
桜が1枚 ヒラヒラと舞ってきた
僕は無意識にその桜を掴んでいた
この桜見た事ある
僕、知ってる_
僕の元へ会いに来てくれたんだね
こんな綺麗な桜の姿になって
あなた
僕に沢山幸せをくれてありがとう
僕はもう大丈夫だよ
前を向いて歩いて行く
END.
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。